ハンモックの安定感は、結びつける柱次第です。【聖書からよもやま話193】

主の御名をあがめます。

皆様いかがお過ごしでしょうか。MAROです。
今日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

毎回、新旧約聖書全1189章からランダムに選ばれた章を読んで、僕の心に浮かんだ事柄を、ざっくばらんに話してみようという【聖書からよもやま話】、今日は 旧約聖書、   イザヤ書の46章です。3日連続イザヤ書です。こういうこともあるからランダムって面白いですよね。それではよろしくどうぞ。

◆イザヤ書 46章3〜4節

胎内にいたときから担がれ、
生まれる前から運ばれた者よ。
あなたがたが年をとっても、
わたしは同じようにする。
あなたがたが白髪になっても、
わたしは背負う。
わたしはそうしてきたのだ。
わたしは運ぶ。
背負って救い出す。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

最近「親ガチャ」なんて言葉が流行して賛否両論を巻き起こしていますけれども、少なくともある程度までは正しいと僕は思います。人は両親や家庭環境を選べませんし、性別も身体的特徴も、生まれる国も時代も選べません。そもそも生まれてくるか否かということを自分で決定したという人もいません。人は「生まれる」ということについて、あまりにも無力です。「生まれる」という、人生において最も決定的な出来事について、人間はなんの決定権も持っていないんです。人は神様からの完全に一方的な恵みによって生まれてきます。ここにあるこの命は自分で得たものではなく、神様に与えられたものです。

そして聖書はさらに、「生まれる」だけでなく「生きる」ということについても同じであると告げています。歳をとっても、白髪になっても、生まれた時と同じように一方的な恵みを与え続けると宣言しています。そして背負って運んで救い出す、と。「救われる」というのは、ともすれば自分の意思や行動によるものと思われがちですが、神様は「そうじゃない!」と言います。「君を救うのは君自身ではなく、私だ」と。

誰しも、赤ちゃんの頃は両親や誰かに徹底的に世話をされて生きます。食べることも飲むことも排泄することも、自分の生命活動のすべてを両親に委ねて生きます。同じように神様も、人間を徹底的に世話するぞと宣言しています。神様は「君が歩くのを支える」なんて言っていません。「背負う」と言っています。つまり「君の全体重を、すなわち命を、全面的に私にあずけろ」と言っています。「君が一人で歩けるようになるまで」なんてことも言ってません。「年をとっても、白髪になっても、私が全面的に背負うぞ」と言っています。
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人は誰でも一度、死にます。当たり前のことですけれども。どんなに「命が助かりますように」と願っても、いずれ必ず死にます。「生まれるか否か」に決定権がなかったのと同じように「死ぬか否か」にも人間にはまったく決定権がありません。「知らぬ間にすでに始まってしまっていて、そしてすでに終わりに向かっている」のが人生です。ハイデッガー流に言えば「死に向かう存在」です。人生とは、自分にまったく決定権のない「誕生」と「死」に挟まれた極めて不安定な時間です。今にも折れそうな細い小枝に結びつけられたハンモックのようなものです。

しかしそこで神様が「始めたのも私、終わらせるのも私。だからすべて任せろ」と言ってくれるのは、極めて不安定に見えた人生の両端は、実は何よりもしっかりとした柱に結びつけられている、何よりも安定したハンモックであるんだぞ、という朗報です。

人生は極上のハンモック。自分で生きなくていいんです。それに身を委ねて安らいでいればいいんです。どんなに不安定に思えても、両端はしっかりと神様が掴んでくれています。

それではまた明日。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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