サソリの毒は「死ぬほど」、いや「死んだ方がマシなくらい」痛い。【聖書からよもやま話73】

皆様いかがお過ごしでしょうか。MAROです。今日も日刊キリスト新聞クリスチャンプレスをご覧いただきありがとうございます。

毎回、新旧約聖書全1189章からランダムに選ばれた章を読んで、僕の心に浮かんだ事柄を、ざっくばらんに話してみようという【聖書からよもやま話】、今日は 旧約聖書、ヨハネの黙示録の9章です。それではよろしくどうぞ。


◆ヨハネの黙示録 9章5節

その人たちを殺すことは許されなかったが、五か月間苦しめることは許された。彼らの苦痛は、サソリが人を刺した時の苦痛のようだった。(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

世の終わりに、神様を信じない人々が苦しむのだということがこのシーンでは描かれているのですけれど、これがどのくらい苦しいのか、痛いのか、日本人にはいまいちピンと来ませんよね。だって「サソリが人を刺した時の苦痛のよう」なんて言われたって、日本人の大半はサソリに刺されたことなんてないですもの。僕だってないです。

ギリシア神話のオリオンはサソリに刺されて死んだとされています。この神話を読んで「わぁ!サソリの毒って怖いんだ!!刺されると死んじゃうんだ!」というイメージを持っている方も少なくないと思うのですが、実はサソリの毒って意外と弱くて、人を死に至らしめるほどの毒を持っているものはわずかなのだそうです。

聖書では11箇所に「サソリ」という語が出てくるのですが、たしかにサソリ毒で人が死んだという描写は一つもありません。サソリは「死」ではなく、「痛さ」を象徴する動物として登場しています。たとえば列王記には「君たちを懲らしめるためにサソリを使うよ」と書いてあります。この黙示録でも、サソリは「痛いけれども死には至らない」存在として描かれています。

とはいえ、サソリ毒の症状は「刺された直後に灼熱感を伴う疼痛、次に刺された箇所が腫れ上がり変色し、場合によっては壊死し、さらに12時間以内に全身発汗、悪心、嘔吐、呼吸困難、徐脈・・・etc」と、とても恐ろしいものです。たとえ死なないとしてもこんな症状が5ヶ月も続くのは辛すぎます。

つづく6節にはこう記されています。「その期間、人々は死を探し求めるが、決して見出すことはない。死ぬことを切に願うが、死は彼らから逃げて行く」文字通り「死んだ方がマシ」というほどに苦しいということです。

ハチは飛んでくるのが分かりますけど、サソリって見えないところに潜んでいるので気をつけないといきなり刺されるのだそうです。たとえば靴を履くときに油断していると、靴の中に潜んでいたり。「神様の懲らしめはある日突然訪れるんだぞ」という意味でも、サソリというのは良い象徴なのかもしれません。

いきなり訪れて、死んだ方がマシなほど激しい痛みと苦しみ。恐ろしいですね、サソリ。そして神様の怒り。でもイエス様は「君にはそんな痛い思いをして欲しくないよ。だから必ず助けるよ!」と言ってくださっているんです。オリオンはサソリに負けましたけど、イエス様はむしろサソリを踏みつけると書いてあります。頼もしくて優しい兄貴です。

ちなみに日本にもサソリは生息していますが広く分布しているのはヤエヤマサソリとマダラサソリの2種類だけで、ヤエヤマサソリはほとんど無毒、マダラサソリもミツバチ程度の毒性だそうです。・・・とはいえ、ミツバチに刺されたって十分に痛いんですし、場合によってはアナフィラキシーとかを起こすケースもあるんですから、気をつけるに越したことはありませんが。

それではまた。
主にありて。
MAROでした。


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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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