是枝作品「ベイビー・ブローカー」がエキュメニカル賞 カンヌ映画祭

是枝裕和監督の監督作「ベイビー・ブローカー」が第75回カンヌ国際映画祭のエキュメニカル審査員賞を受賞した。濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」に続き、2年連続で日本人監督の作品が選ばれた。

エキュメニカル審査員賞は、カンヌ国際映画祭の独立部門の1つで、キリスト教関連の国際映画組織「SIGNIS and INTERFILM」の6人の審査員によって、コンペティション部門出品作の中から選ばれる賞。「人間の内面を豊かに描いた作品」に与えられる。日本人監督の作品としてはこれまで、濱口竜介の「ドライブ・マイ・カー」、青山真治の「EUREKA(ユリイカ)」、河瀬直美の「光」に授与されてきた。

同作は、自らの手で育てられない赤ん坊を匿名で預けられる「赤ちゃんポスト」をきっかけに出会った人々の旅路を描いた韓国映画。預けられた赤ん坊を横流ししてマージンを稼ぐベイビー・ブローカーのサンヒョン役のソン・ガンホは今回、最優秀男優賞を受賞した。カンヌ国際映画祭において、韓国人俳優が最優秀男優賞を受賞するのは初めてとなる。

映画専門サイト「映画.com」によると、エキュメニカル審査員賞授与にあたり、審査委員長は作品について「この映画は、血のつながりがなくても家族が存在できることをとても親密な方法で示してくれる。傷ついてきた過去を持つ大人3人(ブローカーの男2人とベイビー・ボックスに赤ん坊を置いた母親1人)と養護施設から抜け出した子供1人によって、赤ん坊の命と魂は守られる」と評価し、さらに本編後半に登場する彼らによるあるシーンがとても感動的だったことについて触れた。

これを聞いて是枝監督は「僕がこの映画でやりたかったことを伝えていただいた」と述べた上で、「あるシーン」を踏まえながら次のようにコメントした。

「これは今回映画を作る上で施設で育った子や親元を離れて育った子たちを取材する中で、自分が社会の側、大人の側としてどうしても伝えたい言葉だったので、普段はやらないくらいはっきりとセリフにしました。その祝福の言葉を聞いた後にちょっとだけ人生が上向きになる、上を向いて生きていけるようになるというか、そんな物語にしたいなと思いました。

最終的には捨てられたひとつの命がもう少し大きな、それは側でみている人もいれば、側に近寄れないので遠巻きにみている人もいるけれども、社会という少し大きな箱の中で見つめられて育てられていくという、そういう話にしました。なので、今回は本当にこの作品にとってふさわしい賞をいただけたなと思っています。有難うございます」

同作の題材となっている「赤ちゃんポスト」は、韓国ソウル市南部の冠岳区にある施設がモデルとなっている。2009年冬に地元のキリスト教会の李鍾洛(イ・ジョンラク)牧師(67)らが設けたもので、これまでに2千人近くの幼い命を守ってきたという。日本でも、2007年に開設した慈恵病院(熊本県)の「こうのとりのゆりかご」がよく知られている。創設したのは、2年前に亡くなったカトリック信徒で元院長の蓮田太二氏。

 

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