パキスタンで死刑判決の女性クリスチャン 逆転無罪に

 

パキスタン最高裁判所は先月31日、2010年にイスラム教に対する冒とく罪で死刑判決を受けていたクリスチャン女性のアーシア・ビビさんに無罪判決を下した。

ビビさんはパキスタン中部パンジャブ州出身の5児の母親で、2009年にイスラム教徒と口論になった際、預言者ムハンマドの名を汚したとして、初めて冒とく法が適用され、絞首刑を言い渡されていた。しかし今回、最高裁は証拠不十分と判断した。

ビビさんは8年間にわたり死刑囚として勾留されていたが、無罪となった後も、それに反発して暴力的な抗議行動を展開するイスラム強硬派から身の安全を守るため、同じ拘置所にとどまっていた。しかし今月8日、その拘置所から国内の別の場所に移送されたことが分かった。

AFP通信が伝えたところによると、カーン首相は国営放送で、最高裁の判断を尊重するよう国民に強く求めた。

(画像:ウィキペディア)

パキスタンに渡航歴のある国際NGO代表者は、パキスタン国内の様子について次のように語る。

「パキスタンの宗教弾圧は、数年前より悪化しているように感じます。我々も、支援先や派遣している人などは公表していません。情報に関しても、非常に慎重に扱っているという現状です。今回のクリスチャン女性が解放された件は喜ばしいと思いますが、このようにキリスト教徒が捕らえられたりするのは日常茶飯事のようです。特に西側の地域がひどいようです。東側の地域、ラホールのあたりには、神学校もあれば、教会もあります。礼拝も行われますが、あくまでも『社会的な弾圧の下で』ということです。反抗したり抵抗したりするのではなく、静かに祈るという姿勢を貫いているように見えました」

守田 早生里

守田 早生里

日本ナザレン教団会員。社会問題をキリスト教の観点から取材。フリーライター歴10年。趣味はライフストーリーを聞くこと、食べること、読書、ドライブ。

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