9月20日「彼らにその仕事を任せよう」

兄弟たち、あなたがたの中から、”霊”と知恵に満ちた評判の良い人を七人選びなさい。彼らにその仕事を任せよう。(使徒言行録6章3節)

初代教会は外からの迫害だけではなく、内部にも困難な問題に直面した。教会に「弟子の数が増え」1節)たからである。ここで、信徒たちが「弟子」と呼ばれていることに注目したい。信徒は皆、主の弟子であり、祭司であり、伝道者である。使徒たちは、やもめたちの食事の世話を取り仕切っていたが、人数が増えて行き届かなくなり、苦情が出た。言葉の違い、育った環境により、各々の考え方や感性は違うため、人数が増えれば問題も生じる。教会はこれを神から与えられた課題と受け止め、神の導きを祈りつつ、皆でこれに対応することによって、福音宣教を前進させてゆく。

そこで十二使徒は「弟子をすべて呼び集め」(2節)、会議を開いた。全会衆の参加による民主的運営である。使徒たちは「わたしたちが、神の言葉をないがしろにして、食事の世話をするのは好ましくない」と言って、今日の聖句のように提案をした。「七人」は食事の世話をする奉仕者、すなわち執事である執事を選ぶ際の三つの条件は、「霊」に満たされた信仰の人、物事を正しく判断できる知恵の人、人々から信頼されている人であった。全会衆はこの提案に賛成し、七人を選んだ。これによって、使徒たちは「祈りと御言葉の奉仕に専念する」(4節)ことになった。今日も、み言葉の宣教者が教会の諸事に追われて、祈りとみ言葉の準備を後回しにすると、教会は霊的な病気になる。「七人」は使徒たちがみ言葉の職務に専念できるように立てられた。執事の職務は、教会の運営が目的ではなく、み言葉の職務に就く者の働きを支えるものである。

内藤淳一郎

内藤淳一郎

西南学院大学神学部卒業後、日本バプテスト連盟の教会で牧会、鹿児島大学哲学科のカトリックの神学の学びから、鹿児島ラ・サール高校でも教える。日本バプテスト連盟宣教室主事、日本バプテスト連盟常務理事を8年間務める。

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