3月12日「剣を取る者は、剣で滅びる」

剣を取る者は皆、剣で滅びる。(マタイによる福音書26章52節)

主イエスの弟子であったユダが、剣や棒を持つ群衆の先頭に立って、主に近づいた。そして、彼の接吻(せっぷん)を合図に、群衆は主イエスに手をかけて捕縛(ほばく)した。これに対抗して、弟子の一人が剣を抜いて打ちかかった時、主イエスは剣をさやに納めなさい」と言って、今日の聖句を語った。剣を取って正義を貫く方法は、真の解決をもたらさない。主イエスは悪に報復して人の血を流す道ではなく、ご自分の血を流す十字架の道を歩まれた。この主イエスの姿に、悪を悪として裁く神の峻厳(しゅんげん)と、力に縛られた不自由な人間を解放する神の慈愛がある。「神の慈愛と峻厳とを見よ」(ローマ11・22)。しかし、神の御子イエスにとっても、この地上では、「父よ、御心がなりますように」という祈りなしには、十字架の道を歩むことが出来なかったことを、私たちは知らなければならない。

今日の聖句は、ご自分が歩んだ道に私たちを招く主イエスの言葉である。L・キング牧師は主イエスの道を歩んだキリスト者の一人であった。彼は自宅に爆弾を投げ込まれた時、集まって来て激昂(げっこう)する黒人の支持者たちに、慌てないようにしましょう。武器を持っているなら、家に帰りなさい。…僕らは暴力による報復によって、この問題を解決する事は出来ません。暴力に対しては、非暴力を持って応えなければなりません。剣を取る者は皆、剣で滅びる』というイエスの言葉を思い出してください」と語りかけた。「わたしの言葉に留まるならば、あなたたちは本当にわたしの弟子である。あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする」(ヨハネ8・31〜32)。

内藤淳一郎

内藤淳一郎

西南学院大学神学部卒業後、日本バプテスト連盟の教会で牧会、鹿児島大学哲学科のカトリックの神学の学びから、鹿児島ラ・サール高校でも教える。日本バプテスト連盟宣教室主事、日本バプテスト連盟常務理事を8年間務める。

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