5月15日は「天使にラブソングを…」の放送日。午後9時から日本テレビ系列で見ることができます。
主演のウーピー・ゴールドバーグは、黒人姉妹の人生を描いた「カラー・パープル」(スティーヴン・スピルバーグ監督)の主役としてデビューし、亡くなった恋人の声が分かる霊媒師を演じた「ゴースト/ニューヨークの幻」でアカデミー助演女優賞を受賞。その後、この「天使にラブソングを…」で人気を不動のものにしました。
同作は、殺人現場を目撃したクラブ歌手ドロレスが修道院にかくまわれ、そこで騒動を起こしながらも聖歌隊の指揮を任されて、パッとしなかった聖歌隊を見事に変身させるまでを描いたコメディーです。米国では半年ものロングランとなり、日本でも大ヒットしました。特に映画の中で歌われるゴスペルは多くの人を魅了し、日本のゴスペル・ブームの火付け役とも言える映画です。
原題は「Sister Act」。Act は、新約聖書で4福音書に続いて弟子たちの初代教会の伝道の様子を描いた「使徒言行録」のことです。ですから、これは「修道女(シスター)言行録」なんだなと、キリスト教圏、英語圏の人はすぐピンと来るわけです。
物語の最初と最後に歌われるのは「アイ・ウイル・フォロー・ヒム」。もともと1963年にペギー・マーチが歌って大ヒットした軽快なラブ・ソングでしたが、この作品では「him」(彼)を「Him」(神)に置き換えて、主への一途な愛を歌ったゴスペルに変身させています。
この作品には数多くの名言(迷言)があります。ドロレスが突然、食前の祈りを頼まれて、適当な祈りをでっち上げます。「祝福してください、主よ、私たちが受けるこのあなたの賜物を。そして、食べ物のない影の谷を歩もうとも、私は空腹を恐れません(詩編23編)。日ごとの糧を与えたまえ(主の祈り)。共和国に対し(米国の忠誠の誓い)、私に与えられた権限により(結婚式で聖職者が言う言葉)、食事をすることを宣言します。アーメン」
また、聖歌隊が派手なパフォーマンスに合わせて賛美したため、修道院長が文句を言うと、「劇場やカジノは面白いから人が集まる。でも、教会に行きたがらない。どうして? つまらないからよ。でも、私たちは変えることができる。それなら面白くすればいい。楽しければ、町の人も来るのよ」と、クリスチャンにはドキリとさせられるセリフもあります。
そして聖歌隊を指導しながら、ドロリスは大切なことを伝えるのです。「歌の内容を考えて、喜びと共に歌わなきゃ。主に歌いかけるのよ。そして、お互いの声に耳を澄まして。大切なことよ。それでハーモニーが生まれるの」