クリスマスの記憶【ルーテルアワー・聖書講座】

ルーテルアワー・聖書講座 

(59)

クリスマスの余韻に浸る間もなく、新年を迎えた。日本式の様々な新年の行事の中で、クリスマスに与えられた恵みや思いは心の片隅に追いやられてしまう雰囲気がある。しかし、クリスマスは1月6日の顕現日(けんげんび)まで続くことに目をやると、クリスマスの恵みに包まれて新年を迎えるのだという意味は大きい。特にマリアや羊飼いたちに天使が告げた「恐れるな!」という言葉は、新しい年を迎えるにあたって、常に思い起こしたい言葉でもある。

ドイツの前首相メルケル氏は、首相になる以前の2001年に、党首として福音主義教会大会に出席した際、次のようなメッセージを語った。「クリスマスの物語で、羊飼いたちに出会う天使は『恐れるな』と言います。わたしたちは恐れてはなりません。(中略)この物語の続きはこうなっています。『御覧なさい、わたしはあなたがたに大きな喜びを伝えます!』聖書はいつもこうなんです。諦めや恐れがあるとき、どうすれば前に勧めるかわからないとき、聖書は現状と反対のことを告げます。『恐れるな』だけではなく、『あなたがたに大きな喜びを告げます!』と。」(新教出版社「わたしの信仰」より)西ドイツ生まれでありながら東ドイツの教会の牧師であった父のもとで育ち、30代半ばで東ドイツ崩壊を経験後に政治家となり、2005年から16年間首相を務めた。様々な困難にあっても冷静かつ説得力のある発言・行動を支えていたのが信仰であり、困難に立ち向かう時にも「恐れるな!」という言葉に鼓舞され、告げられる喜びを信じて務めを果たしてこられたのだろう。クリスマスの記憶が新しい年の力となり、私たちの生涯の支えであることを、改めて心に刻みたい。

さて、市川教会のクリスマスと言えば窓の外のサンタクロース。地域の人々の記憶にしっかり刻まれているが、今年も24日のイブ礼拝終了と共に子どもたちの許にお出掛け。ただし、身体は「お役御免」、ということで暖かい部屋へ退散。横たえたとたんにバラバラバラと黒いものが…、やっぱり今年も居たかテントウムシ!雨風凌ぐには最適と、彼らは毎年隙間に潜り込みに来る。放り出された百匹を優に超えるテントウムシは、床上を右へ左へと逃げ始める。出来るだけ潰さないようにしながら拾い上げては外に解放。彼らに信仰はないけれど、ちゃんと自分を守ってくれるもの知っているのだ。サンタクロースの記憶と共に「神様が守ってくれるから、恐れないで!」と記憶してくだされば嬉しいが。

2022年、主のお守りを祈っています。今年もどうぞ宜しくお願いします。

この記事もおすすめ