自民党の菅義偉総裁は16日、臨時国会で第99代首相に指名され、新内閣が発足した。新たに20人の閣僚が決まり、法務大臣には上川陽子氏(67)が再入閣した。
上川氏は、カトリック教徒で、ニコラ・バレ神父が創立したカトリック系女子中高一貫校である静岡雙葉中学校・高等学校の出身。同校ホームページの「卒業生の声」の中で、「新しい挑戦には不安がつきものですが、それ以上に未知への好奇心が、勇気を与え、若い決断を後押ししてくれました。その力は、静岡雙葉での6カ年一貫教育の中で培われたものと確信しており、心から感謝しています」と語る。
大学は東京大学(国際関係論)に進学し、三菱総合研究所研究員を経てハーバード大学大学院へ留学(政治行政学修士)。米国上院議員の政策立案スタッフを務め、大統領選挙運動にも参加した。帰国後は、政策コンサルティング会社設立。
2000年に衆議院選挙に初当選し、第3次小泉改造内閣では当時総務副大臣だった菅新総裁のもと、総務大臣政務官を務めた。第1次安倍改造内閣と福田内閣で少子化担当大臣を務めたあと、14年に法務大臣に就任し、3年前に再び法務大臣に起用された。この間、成人年齢を18歳に引き下げる民法改正に取り組んだほか、18年7月にはオウム真理教元代表の麻原彰晃、本名・松本智津夫元死刑囚ら13人に死刑の執行を命じた。
この死刑執行に関しては、日本カトリック正義と平和協議会、日本基督教団京都教区、日本基督教団西中国教区、日本キリスト教婦人矯風会、日本聖公会正義と平和委員会らが抗議声明を発表。上川氏は記者会見において、死刑執行を命じた時の心境を「鏡を磨いて磨いて磨いて磨ききる心構えで判断した」と述べた。
昨年5月に掲載されたインタビュー記事の中で、死刑執行の決断について聞かれると次のように答えている。
「100代目の法相として、そのとき、どう判断したのか。これは永遠に問われるものだと思います。他人から問われる以上に、自分自身、問い続けていく責任がある。政治家としてどういう姿勢で臨むかを考えたとき、私心をどこまで取り除くことができるか。政治は究極の公共だと思っています」