日本同盟基督教団 新型肺炎について国や地方自治体に判断をゆだねず、自律的に行動

 

日本同盟基督教団は5日、「新型コロナ・ウイルス感染症に対する教会の冷静な対応について」という文書をホームページで公表した。同教団理事会の社会局長である藤田敦氏(北総大地キリスト教会牧師)名義だ。

新型コロナ・ウイルスへの対応で、カトリックでは東京大司教区をはじめ多くの教区が公開ミサの中止を決め、プロテスタント教会でも礼拝を休止するところもある中で、日本の福音派の代表的な教団が指針を出した。

「新型コロナ・ウイルス感染症に対する教会の冷静な対応について」を掲載した日本同盟基督教団のホームページ

文書では、礼拝を休止するような対応には触れず、まず次のように「教会の自律」という心構えを述べて、「信仰的な意味で覚えたい視点、教会として考慮したい点」を簡潔に知らせるとした。

教会が何をして何をしないか、その判断を国や地方自治体に委(ゆだ)ねてはいけません。他者や他の力によって神の教会の行動は定められるのではなく、教会が聖書の権威に立ち、神の前において自律的に判断し行動することです。

そうして、「より具体的で詳しい感染防止方法などは各教会にて調査、検討をした上で、対応をお願いいたします」と各個教会に具体的対応をゆだねるかたちを取っている。

「日本同盟基督教団諸教会の教師、役員各位」に宛てた2月28日付の「新型コロナ・ウイルス感染症に対する教会の冷静な対応について」と題する文書の全文は次のとおり。

主の御名をあがめます。

新型コロナ・ウイルスによる肺炎の報道で、社会は騒然としています。諸教会におかれても、すでに祈りと配慮をしておられることと存じます。

一方致死率について言えば、SARSは9%、MERSは30%でしたが、新型コロナ・ウイルス肺炎による中国湖北省以外の致死率は0・2%と報じられています。日本では毎年インフルエンザで3000人超の死者が出ていることも合わせて考えますと、冷静・的確に対処したく存じます。

ここに信仰的な意味で覚えたい視点、教会として考慮したい点を簡潔にお知らせします。

なお、より具体的で詳しい感染防止方法などは各教会にて調査、検討をした上で、対応をお願いいたします。

1.教会の自律

キリスト者が主日に神を礼拝するために集まる。これは教会そのものと言えるでしょう。また教会学校や祈祷会、役員会と教会堂には人が集まります。一方、ウイルスの飛沫感染・接触感染を避けるには他の人と接しないことです。両者はどうしても相対することとなり、教会での対応を熟慮する必要が生じます。

その際、教会の自律と言うことを覚えましょう。これは感染症に限らず、大災害や緊急の事態が起きた時、その他何事においても問われることです。教会が何をして何をしないか、その判断を国や地方自治体に委ねてはいけません。他者や他の力によって神の教会の行動は定められるのではなく、教会が聖書の権威に立ち、神の前において自律的に判断し行動することです。

2.考慮すべきこと〔専門家会議の見解を受けて〕

新型コロナ・ウイルスは、空気感染するインフルエンザと異なり、接触感染・飛沫感染ですから、適切に対処すれば感染を効果的に防止できます。

(1)感染拡大のリスクが高い行動パターン

①対面で人と人との距離が近い接触(互いに手を伸ばしたら届く距離)

②会話などが一定時間以上続き、多くの人々との間で交わされるような環境

†礼拝での立ち位置や所作などの工夫が考えられます。また、諸会合について開催の是非を検討する判断材料となるでしょう。

†手洗いやマスク利用、ドアノブ・手すりの消毒や換気などを考慮しましょう。

†咳エチケットや手洗いの方法などは具体的に広報しましょう。

†無症状や軽症の人でも感染を広げる例がある。これが対策の難しい点だと心得て対応を考えましょう。

(2)風邪や発熱などが出た場合

①37・5℃以上の発熱が4日以上(高齢者や基礎疾患のある人は2日以上)続く。(解熱剤を飲み続けなければならないときを含む)

②強いだるさや息苦しさがある上記①もしくは②の場合、都道府県の「帰国者・接触者相談センター」に相談する。

†教会員やその家族、近隣住民、学校や事業所などに、感染者および感染の可能性がある人が出た場合、教会がどう対応するかを具体的に考えておきましょう。

†感染者とその家族、関係者を支援する方法についても検討しておきましょう。

【追記/3月4日付】(2020年3月4日 朝日新聞)
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は3日の記者会見で、新型コロナ・ウイルスの特徴について、中国で得たデータを踏まえ、季節性インフルエンザと比べて感染力は高くないとの見解を明らかにした。一方で重症化する患者はより多く、致死率は3・4%とインフルエンザより高いとも指摘した。

雑賀 信行

雑賀 信行

カトリック八王子教会(東京都八王子市)会員。日本同盟基督教団・西大寺キリスト教会(岡山市)で受洗。1965年、兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。90年代、いのちのことば社で「いのちのことば」「百万人の福音」の編集責任者を務め、新教出版社を経て、雜賀編集工房として独立。

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