しかし、気落ちした者を力づけてくださる神は、テトスの到着によってわたしたちを慰めてくださいました。(コリントの信徒への手紙二 7章6節)
コリント教会はパウロが伝道してできた教会である。彼が去った後、教会に他の伝道者が入って来て、分派やさまざまな問題が生じた。教会は問題が起こらない理想郷ではない。人間の集まりであるから、不満、誤解、争いが生じる。問題が生じた時、どのように対応するかによって、教会がこの世の集まりと同じか、神の教会かが試される。一人ひとりがへりくだって神の御心(みこころ)を聞き、祈る時、神が教会を建ててくださる。パウロはコリント教会の諸問題に答えて何度も手紙を書き送った。自ら足を運んで語りもした。しかし、真意は理解されず、パウロは教会を「破滅させる」、「だまし取っている」などと中傷された。それが自分への中傷だけではなく福音にかかわることであると知ったパウロは、「悩みと愁(うれ)いに満ちた心で、涙ながらに手紙を」書いた(2・4)。彼はこの手紙をテトスに託した後で、厳しく言いすぎたのではないかと後悔した。パウロはテトスの帰りを待つ間、安らぎがなく、気落ちしていたが、テトスが吉報をもたらした。教会がパウロの言葉を受け止め、自分たちの罪を悲しみ、悔い改めたという。今日の聖句は、パウロが感謝して書いた手紙の一文である。
パウロが苦しみつつも教会にかかわり続け得たのは、気落ちした者を力づけてくださる神がおられるからである。教会で、家庭で、職場でさまざまな役割を担っている私たちは、諸問題に直面すると、安らぎを失い、気落ちしてしまう人間である。しかし、そうであっても、神は必ず慰め、力づけてくださるごとを覚えて、逃げずに与えられた役割を担い続けたい。