日本カトリック司教協議会(東京都江東区、会長:菊地功東京大司教)と日本聖書協会(東京都中央区、理事長:石田学)は4月10日、バチカンにおいてローマ教皇フランシスコに「『聖書 聖書協会共同訳』講壇用特装版」を献呈した。フランシスコ教皇は、2019年に来日しているが、『聖書 聖書協会共同訳』が教皇に献呈されるのはこれが初めてとなる。
この献呈は、今月8日〜13日にかけて日本カトリック司教団が、使徒座定期訪問(アドリミナ訪問)をした際に行われた。日本カトリック司教協議会(カトリック中央協議会)会長の菊地功氏と日本聖書協会理事長の石田学氏の代理として同行した川口薫神父(日本カトリック司教協議会事務局長、日本聖書協会評議員)と具志堅聖氏(日本聖書協会総主事)が、10日の現地時間午前9時(日本時間午後4時)からバチカンのサンピエトロ広場で行われた教皇フランシスコの一般謁見の場で献呈した。
献呈された聖書は、日本聖書協会の依頼により、この日のためにオランダのフォプマ・ヴィーエル社(FopmaWier)代表で製本職人のヴィッツェ・フォプマ氏(Wytze Fopma)が特別に製作した。A4の判型で、5本の背バンドが施されたクラシカルな装丁は、洗練されたフランス製本の伝統に則っており、フランシスコ教皇の人柄をイメージしてデザインされた。ミョウバンでなめした豚革の白色の表紙には、22カラットの金箔および革による装飾が施されている。見返しはこの聖書のために特別に作ったマーブル紙で飾り、花布は糸で縫ってある。
この貴重な聖書は、運搬に際して傷つけられることがないよう、フォプマ氏自らがオランダからローマに運んだ。献呈の折には、英語で書かれた献呈状(イタリア語訳と日本語訳を添付)と、フォプマ氏による献呈聖書の製作過程およびローマへの運搬の様子を写真で記録した冊子も教皇に手渡された。
『聖書 聖書協会共同訳』は、8年の歳月をかけ、カトリックとプロテスタントが共同でゼロから翻訳した聖書で、聖書原典に基づく日本語による2番目の共同訳だ。その特徴は、「スコポス理論」を採用したことで、日本のプロテスタントとカトリックの両教会の典礼で用いられる標準訳となることを目指して作られた。日本カトリック司教協議会は新共同訳に代えて聖書協会共同訳を典礼で使用することをまだ決議していないが、聖書協会共同訳が日本におけるエキュメニズムの重要な成果であることは間違いない。
翻訳事業には148人(翻訳者62人、編集委員43人、外部モニター20人、検討委員23人)が関わり、初版は日本聖書協会により2018年12月に発行された。今回の献呈は、『聖書 聖書協会共同訳』発行5周年も記念している。