【書店員日記】 思い出多き33年に感謝~書店を閉店する者として(4) 亀岡 徹

北海道キリスト教書店として最後のクリスマスを迎えようとしています。

10月に店舗営業を終え、配達業務は通常通り行い、電話やファックスによる注文を受け、あわただしく業務をこなしています。店内は、常備の書籍はまだそのままではありますが、用品たちがだいぶ片付いて今は通路に発送予定の段ボールが並び、いつもの店内とは違う顔がそこにあります。何人かのお客様は、裏口を通して手帳やカレンダーを買い求めたり、支払いに来ていただいたりしています。帰り際、「寂しくなりますね」とひと言いただきます。

33年前にこの仕事へ導かれ、慣れない毎日の業務の中でも記憶に残る出来事がたくさんありました。今まで道外への出張をしたことがなかった自分にとって、フレンドリーな先輩たちが集う自然の中での「夏期例会」。まだ10月だというのにツリーが飾られクリスマスソングが流れ、魅力的な商品が並ぶ「クリスマス見本市」。新潟・東北・北海道の書店のメンバーがお正月に集い、それぞれの書店の様子をうかがい、その年の励みとする「ブロック会議」。絵本の知識がまったくない自分にとって、子育てに助かった佐藤英和さんとの「絵本セミナー」。どれもこれも当時の自分にとって思い出深い出来事でした。

書籍だけでなくカニや鮭、七面鳥や浄水器色んな物をお客さんに提供しました。昔を懐かしがるのは、この歳になった者の悪い癖です。店を閉めなければならないことへのたいへんさをしみじみ感じながら、2025年1月をもって「北海道キリスト教書店」が閉店を迎えます。現在も孤軍奮闘している書店の仲間たちが全国にいます。その灯を消さないでほしいと思う反面、必要以上の犠牲を払わないように過ごしてほしいと思うばかりです。

(かめおか・とおる=北海道キリスト教書店)

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