「神の愛で満たされるように」 日本聖公会が「平和メッセージ」

日本聖公会の上原榮正首座主教と長谷川清純正義と平和委員会委員長は8月15日付で「平和メッセージ」を発表した。

メッセージは、「神の宣教は、人びとが互いにゆるし合い、大事にし合い、世界が愛で満たされること」だとし、愛とは反対に戦争は人々の生活と自然環境を壊し、すべての命を奪い、悲しみと憎しみを蓄積、増大させ復讐心を生じさせるものだと強調。「憎しみの鎖を断ち切り、すべての命が守られて、この世が神の愛で満たされますように、また私たちが正義と平和を来たらす器とされますように」と祈り続けることを誓った。

メッセージの全文は以下の通り。


2024年 8・15平和メッセージ

私の魂は平和を失い 幸福を忘れてしまった。(哀歌 3:17)

主の平和がありますように

2024年8月15日、日本は79回目の終戦記念日を迎えます。

ロシアによるウクライナへの侵攻、ハマスによるイスラエルへの攻撃からイスラエルのパレスチナ・ガザへの激しい報復攻撃は、出口が見出せない戦争となっています。しかも国際連合憲章第2条4項で「武力による威嚇または武力の行使」を禁じていますから、国際法違反です。

世界中の人々が戦争のない平和な世界の実現を祈っています。

日本は太平洋戦争後、日本国憲法を定め、第9条で「日本国⺠は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と不戦を誓いました。日本は世界に冠たる平和国家を築いてきました。

しかし2015年、国会は安全保障関連法案を強行採決し、軍事費増額、武力増強、基地再編等を行ない、急ピッチで戦争ができる国にしようとしています。アジア地域を危険な状況にさらしています。

イエス・キリストは神と人類との和解のために自らの命を差し出して十字架にかけられ、復活によって新しい命の希望を与えてくださいました。

日本聖公会はその十字架の道を歩む信仰共同体です。神の宣教は、人びとが互いにゆるし合い、大事にし合い、世界が愛で満たされることです。

戦争は愛と真逆で、人びとの生活と自然環境を壊し、すべての命を奪います。戦争は人びとの悲しみと憎しみを蓄積、増大させ復讐心を生じさせます。

私たちは、憎しみの鎖を断ち切り、すべての命が守られて、この世が神の愛で満たされますように、また私たちが正義と平和を来たらす器とされますようにと祈り続けます。

今年6月23日沖縄慰霊の日に読まれた平和の詩は、沖縄県立宮古高校3年生の仲間友佑さんの「これから」でした。

この詩の作者の祖⽗⺟は、もう戦後生まれです。戦争を直接体験しなかった祖父母から、その子を通して孫である詩の作者にまで、平和を希求する祈りの重みが脈々として伝えられているところに、「平和の詩」の真価があることを学びとりたいと思います。

以下は、詩の最後の一部です。

 「人は過ちを繰り返すから 時は無情にも流れていくから 今日まで人々は 恒久の平和を祈り続け 小さな島で起きた あまりに大きすぎる悲しみを 手を繋ぐように 受け継いできた それでも世界はまだ繰り返している 七十九年の祈りでさえも まだ足りないというのなら それでも変わらないというのなら もっともっとこれからも僕らが祈りを繋ぎ続けよう 限りない平和のために 僕ら自身のために 紡ぐ平和が いつか世界のためになる そう信じて」

主に栄光

日本聖公会 首座主教  主教
ダビデ 上原 榮正
正義と平和委員会 委員⻑ 主教
フランシス ⻑⾕川 清純

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