会堂建築で地鎮祭? 上林順一郎 【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】

Q.会堂建築を依頼した業者から地鎮祭をしたいと頼まれたのですが、やはりすべきでしょうか?(30代・牧師)

「地鎮祭(じちんさい、とこしずめのまつり)とは、建物の建築や土木工事を始める前に執り行う祀りごとで、その土地の神(霊)を鎮め、工事の安全と無事を祈るものである。一般には神式で行われるが、仏式やキリスト教式で行ってもよい」と、ものの本にはありました。

寡聞にして「キリスト教式の地鎮祭」など聞いたことはありませんが、それに類したものとしてキリスト教では「起工式」を行うことがあります。この場合の「起工式」は神道の地鎮祭のような「鎌入れ」や「鍬入れ」「鋤入れ」などの行事は当然行いませんが、それに代わって、建築の着工にあたっての感謝の礼拝や祈祷が行われます。

特に、教会堂の建設の場合は、工事関係者だけではなく、教会員も参加して神の祝福と工事の安全を祈願することが一般的です。

ところでこの「地鎮祭」や「起工式」、必ずしもやらなければならないものではありません。しかし建築業者や工事関係者からは「地鎮祭」を強く要請されることも事実です。というのも、工事に携わる人の中には、土地の「祓いや」や「浄め」の儀式をしたうえで工事に当たらないと、事故や不測の事態が生じると信じている人もいるからです。

しかし最近では、「地鎮祭」や「起工式」をしない場合もあると聞きます。しなかったからといって、事故が起こったり、不測の事態が生じたりという話も聞きません。キリスト教の教会だから「地鎮祭」はやらないと、はっきり言えばそれで済むことです。「世のしきたり」に倣う必要はないでしょう。

とはいえ、万が一工事中に事故が起こって工事関係者から「地鎮祭」をしなかったからだと文句を言われても、それに毅然と対応できる「覚悟のほど」は必要ですが。

 かんばやし・じゅんいちろう 1940年、大阪生まれ。同志社大学神学部卒業。日本基督教団早稲田教会、浪花教会、吾妻教会、松山教会、江古田教会の牧師を歴任。著書に『なろうとして、なれない時』(現代社会思想社)、『引き算で生きてみませんか』(YMCA出版)、『人生いつも迷い道』(コイノニア社)、『なみだ流したその後で』(キリスト新聞社)、共著に『心に残るE話』(日本キリスト教団出版局)、『教会では聞けない「21世紀」信仰問答』(キリスト新聞社)など。

【既刊】『教会では聞けない「21世紀」信仰問答Ⅱ -悩める牧師編』 上林順一郎監修

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