お金では絶対に買えないもの【聖書からよもやま話478】

主の御名をあがめます。

皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は 新約聖書、使徒の働きの8章です。よろしくどうぞ。

使徒の働き 8章18〜19節

シモンは、使徒たちが手を置くことで御霊が与えられるのを見て、使徒たちのところに金を持って来て、「私が手を置く者がだれでも聖霊を受けられるように、その権威を私にも下さい」と言った。(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

いつの世にも、なんでもお金で買えると思っている人はいるものです。このシモンという人は、使徒たちが他の弟子たちに手を置いて聖霊を授けているのを見て「お金は払うから、その力を私にもください」と言いました。使徒たちの力は神様から受け取ったものです。とてもお金でなんとかなるものではありません。つまりこのシモンという人は神様を信じていると言いながらも、神様の権威をお金でなんとかなるものだと思っていたんです。言い換えれば神様よりもお金の方が強いと思っていたんです。

それを聞いた使徒ペテロは当然、怒りました。「君なんかそのお金ごと滅びてしまうといいよ。君は悪い考えに縛られているよ」、それを聞いたシモンは「ごめんなさい、ゆるしてください。神様が私をゆるしてくれるように一緒に祈ってください」と謝りました。

歴史を見ていますと、お金で権力を買うということは非常によく起こっていることです。賄賂が横行し、官職や名声がお金で売り買いされ・・・歴史を見るまでもなく、現代でも大なり小なり起こっています。愛情や友情さえもお金で買えると豪語する人さえいます。それらが本当にお金で買えるのか、僕にはそれほどのお金を持った経験がありませんからわかりません。しかし一つだけ、信仰だけは決してお金で買うことができないということはわかります。そして信仰によって生じる様々な果実もまた、お金で買うことができないということもわかります。シモンは信仰による果実をお金で買おうとしましたが、つまりそれは信仰をお金で買おうとしたのと同じであり、それはまったくもって無駄なことです。

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Unsplashlucas Favreが撮影した写真

お金というのは良いものですが、人の心を狂わせるものでもあります。お金がなければ「信仰は買えない」と分かっていても、もしお金をたくさん持つようになったら「信仰だってお金で買えるかもしれない!」という勘違いが始まってしまうのかもしれません。

幸せはお金で買えないとよく言われます。でもお金によって、一時的にでも、ほんの少しでも、それに近づくことはできるように思います。一方で信仰は、お金によって一時的にでもほんの少しでも、近づくことさえできません。むしろ遠ざかります。「私は教会にたくさん献金したんだ!どうだ!信仰深いだろう!」なんて威張る人がいても、きっと教会の人たちは「困った人だな」と思うだけです。もちろん神様だってそれを信仰だなんて認めません。

しかし世のいわゆるカルト宗教さんたちは「お金こそ信仰のバロメーターだ!信仰を示すためにお金をたくさん持って来なさい!」と教えますし、お金をたくさん持って来た人に権威を与えもします。彼らはこのシーンのシモンを、叱るどころか褒め称え、彼の要求通りに権威を与えるんです。お金を基準に権威を決めたり人を順位づけしたりするなら、それは宗教でもなんでもなく、ただの集金団体です。

 

それではまた。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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