Q.教会の役員会が、全員牧師の親族で占められており違和感を覚えるのですが、総会で承認されていれば良いのでしょうか?(40代・男性)
この質問を受けた時、まず感じたことは「そんな教会があるのか」との驚きです。あなたの出席されている教会の規約でも、親族が役員を占めることを明文化してはいないと思います。また、その教会が教団に所属しているのなら、この状況を承認してはいないと思います。
教会の歴史の中で、特定の家族や親族が教会の中心となることは、一時的・経過的にはあるでしょう。しかしそれはやむを得ないことであるため、健全な状態になるように教会全体が役割を分担すべきことがらです。
牧師の家族が役員であれば、牧師は教会に対して公平・平等に接することが難しくなり、風通しの悪い閉塞的な教会となってしまって、新しい人が定着しにくくなるでしょう。時に耳にするのは、役員が固定化して教会がマンネリ化したり、牧師との対立が生じて役員会が機能不全に陥ってしまったりする現状です。
どうして牧師の親族が役員の多数を占めるようになったのかわかりませんが、信徒が30人ほどの教会であれば、牧師の家族・親族でない方から役員を選任することは可能だと思われます。こうした不健全な事態は、牧師の側から見れば、牧師や親族の負担が大きすぎる状況であり、教会の信徒の側から見れば、教会の意見や提案が通りにくく閉鎖的な状況です。なぜそうなっているのかを、教会の歴史を知っている方に聞いてみてください。
あなたの所属する教会で、ある程度の人数と役員にふさわしい方がおられる場合に、一方で牧師や親族に任せてしまっているのなら、牧師に面談を求めて話をしてみてはどうでしょう。牧師の方が教会を私物化せず、「キリストの教会」の牧者として自覚されているなら、教会の体質を変える良い機会となるでしょう。
現状・表面だけで判断するのではなく、なぜそうなっているのかを探れば、深い事情が見えてくるかもしれません。
*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。
かつもと・まさみ 1950年熊本県生まれ。聖契神学校卒業後、立正大学仏教学部(日蓮宗)を卒業。あわせて僧階課程を修了。その後、仏教大学で仏教学(浄土宗)を専攻。神道や民俗宗教の学びの必要を覚えて、神道宗教学会に加入。郷里熊本で牧会の後、1990年から千葉県流山市で開拓伝道を開始した。後に日本聖契キリスト教団に加入し、聖契神学校講師(比較宗教·日本教会史)を担当。著書に『日本人の生活習慣とキリスト教』『日本の宗教行事にどう対応するか』(いずれもいのちのことば社)など。