わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし成長させてくださったのは神です。
コリントの信徒への手紙一3章6節(参照箇所同書3章1〜9節)
アポロという人は、アレキサンドリア出身のユダヤ人でキリスト者となり、コリントにも伝道した人です(使徒言行録18章24節以下)。パウロと共に人々を引きつけ、コリントの教会にパウロ派、アポロ派と分れる騒ぎが生じました(4節)。
このような分裂騒ぎは、現代の教会においても珍しいことではありませんが、現実に起ったときは収拾に苦慮する問題です。パウロが、教会の中にありがちな問題をどのように収拾したかを見ることは、わたしたちが同じ問題を抱える時、益となるものを得るのではないでしょうか。
彼はまず「あなたがたはただの人にすぎないではありませんか」(4節)と言います。つまりキリスト者なのですか、と問うていることになります。分裂が起っているときは、ただの人になっているのだから、キリスト者としてのアイデンティティーを取り戻しなさいと戒めているのです。
その上で「わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし成長させてくださったのは神です」と言います。判断の決め手を示しているのです。信仰者としての立場に立てば、納得せざるを得ない決め手をパウロは持ち出しているのです。これが納得できなければ、「ただの人」に過ぎません。