教えてください。主よ、わたしの行く末を、わたしの生涯はどれ程のものか、いかにわたしがはかないものか、悟るように。
詩編39編5節(参考箇所詩編39編1〜14節)
この詩編の作者は、死を間近に控えて人生がどれだけ残されているかを知りたいと願っています。ふり返って過去をさかのぼれば、そこにあるものは空しさであって、人生はあたかも実態のない影のように感じられます。自分の人生でありながら、自分のものとならず、これまでの積み上げて来たものも他人の手に渡ってしまうかのようです(7節)。死が近い今、残る人生がいかほどかを知ることによって、一層「いかにわたしがはかないものか」を知りたいと願うのです。
作者はいかにも虚無的な思いに囚われているかのように見えます。しかしながら、彼の願いは主に望みをかけることでありました(8節)。それには、なまじっか人生に充実した日々を見ないほうがよいのです。人生に望みを見つけることができないので、かえって神に望みをかける自分を鮮明にすることができます。
自分の人生をはかなくすればするほど、人生の主役は作者自身ではなくなります。主役の座は主なるお方に移っていきます。そうなって始めて、そのお方がなさることがよく見えます。もはやそのお方のみがわたしの残りの人生をよいように計らってくださるので、その方にすべてをお委ねするのです(13節)。