新型コロナ・ウイルス対策の2020年度第2次補正予算案は8日、審議入りし、今週中に成立する見通しだ。その予算案を検討する中で、中小企業などに最大200万円を支給する「持続化給付金」と、新設する「家賃支援策」の対象に宗教法人も含める案が自民党総務会で話し合われたが、5月27日の閣議決定で除外された。与党内の調整ができていないことが理由だと政府は説明している。
何より問題とされたのは、「政教分離」を規定している憲法20条(いかなる宗教団体も、国から特権を受け……てはならない)と、宗教団体への公金支出を禁じた89条(公金その他の公の財産は、宗教上の組織若〔も〕しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、……これを支出し、又〔また〕はその利用に供してはならない)に違反する疑いがあるという点だ。
新型コロナ・ウイルスの影響で葬儀などが大幅に減り、経営が苦しい寺などが増えていることから、日本宗教連盟は政府などに要望書を提出していた。また文化庁も、宗教法人を「持続化給付金」の給付対象に加えることの是非について経済産業省中小企業庁に打診していた。
米国では、3500億ドル(約37兆円)規模の中小企業向け融資の対象に宗教団体が含まれており、それについての「クリスチャニティー・トゥデイ」の記事「新型コロナ・ウイルス対策で教会も政府からの融資を受けられる」は本紙で掲載している。
一方、従業員を解雇せずに休業手当を支給して休ませた場合、政府がその費用の一部を助成するという「雇用調整助成金」については、宗教法人も支給対象に含まれている。4月17日に文化庁宗務課から日本宗教連盟に「新型コロナ・ウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置について」という文書で情報提供がなされ、翌日、同連盟から日本キリスト教連合会などに「宗教法人で『休業手当』を出した際の、『雇用調整助成金』の適用について」という文書で通知された。
「新型コロナ・ウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置について」の全文は次のとおり。
雇用調整助成金につきましては、緊急対応期間(4月1日から6月30日まで)において、新型コロナ・ウイルス感染症特例措置が全国で実施されており、本特例措置は雇用保険適用事業主のみならず労働者災害補償保険の適用を受ける事業主も対象になります(下記URL参照)。
雇用調整助成金と同様に、本特例措置も基本的には宗教法人も対象となり、例えば、巫女さんなどをアルバイトで雇っている場合、その休業手当についても雇用調整助成金の支給対象となることが確認できましたので、情報提供させていただきます。
なお、個別具体の事例が対象になるか否かや申請の手続きなどについては、お近くの都道府県労働局または公共職業安定所(ハローワーク)に確認ください。
※新型コロナ・ウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
https://www.mhlw.go.jp/content/000621462.pd
「宗教法人で『休業手当』を出した際の、『雇用調整助成金』の適用について」の全文は次のとおり。
宗教法人が、労働保険の適用事業所(雇用保険や労災保険を支払っている)である場合には、今回の「新型コロナウイルス感染症」の関係で、常勤職員、非常勤職員(パートタイマーやアルバイト)を解雇せず、休業させ、「休業手当」を支給した場合、宗教法人も「雇用調整助成金」を申請することができます。
通常では、雇用保険を払っている職員に対してのみの支給なのですが、特例として、雇用保険の対象外であるパートタイマーやアルバイトに「休業手当」を支給した場合も摘要となることが分かりました。
別紙、文化庁宗務課が厚生労働省に確認し、情報提供くださいましたので、回送いたします。各関係団体、並びに、関係宗教法人にもご周知いただければ幸いです。
なお、申請期間が6月30日までとなっておりますので、労働保険加入の宗教法人には、都道府県労働局、または、公共職業安定所(ハローワーク)にお問い合わせくださるようお伝え願います。
申請については、厚生労働省HPにございますので、ご確認くださいますようお願い申し上げます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html