イエスの生涯を若者向けに 新アニメ『ジーザス』2025年冬に公開予定

「ジーザス・フィルム・プロジェクト」は、2025年のクリスマスごろに公開予定の劇場用アニメ『ジーザス』を制作中だ。「レリジョン・ニュース・サービス」が報じた。

「あなたがたは歴史上かつてないほど、世界中でイエスについての知識をほとんど持ち合わせていない人々がいることを認識していますか?」――11月30日、ワシントンの聖書博物館で行われた新プロジェクトの発表会で、国際宣教の専門家であるデイビッド・プラット牧師はこう問いかけた。「ジーザス・フィルム・プロジェクト」の制作スタッフがアニメーターやサポーターも同席していた。

「神がお定めになったメディアを使って、次の世代にも福音を伝えることができる」とプラット氏。この映画を発表する同様のイベントは、韓国とウガンダでも開催された。

ギネスブックによると、1979年に公開されたオリジナルの『ジーザス』は、現在「クルー」として知られる福音主義キリスト教団体によりリリースされたが、他のどの映画よりも多くの言語に翻訳されている(最近、2100番目の翻訳が完了)。

「ジーザス・フィルム・プロジェクト」エグゼクティブ・ディレクター、ジョシュ・ニューウェル氏は、アニメはイエスの生涯を若い世代へ語るのにふさわしい手段だと考えている。「アニメは、物語を語るための説得力のある方法」「イエスが教えることは善であり、真実であり、子どもたちや家族にとって適切であるという道徳的反響があります」

『ライオン・キング』『ムーラン』『リロ・アンド・スティッチ』などを手がけた新作の監督ドミニク・キャロラ氏は、アニメーターたちは歴史専門家と緊密に協力し、イエス自身を含むイエスの時代に生きた人物の顔や服装を描いていると語った。

「彼は中東出身で、ユダヤ人です。ですから、肌の色や質感など、私たちが頼みにできるものがあると分かっていました。なぜなら、これは彼が生まれた世界の一部だからです」と、キャロラ氏は発売前のインタビューで語り、世界的なフォーカス・グループから極秘にフィードバックを得ることの重要性を指摘した。

「彼をマリブ(カリフォルニアの超有名サーフィンスポット)出身のサーファーにしたり、メンズファッション誌『GQ』に登場するような人物にはしたくはありません。彼は私たちの間を歩き、生身の人間として生きた。だから、これらのバンパー・レール(衝撃壁)に沿うよう非常に厳しいプロセスを経たのです」

キャロラ氏は、十字架刑のようなイエスの物語の特定の部分に「絶妙に」アプローチしなければならないと語った。「私たちは、イエスが私たちのためにしてくださったことを最小限にしたくないが、『イエスの受難(十字架上の苦しみ)』のレベルまで示すことは確かにできない」と彼は言う。「私たちはそれをしていない。だから、それは良質な境界線なのだ」。

聖書博物館で放映された、イエスが会堂長ヤイロの娘を死からよみがえらせたという福音書のストーリーを描いたクリップは、異なる文化や国のフォーカス・グループに披露された。ニューウェル氏によれば、イエスのことを聞いたことがないような人々でさえ、この物語に肯定的な反応を示したという。

ドキュメンタリ―ドラマ風に制作されたオリジナルの映画は2時間だったが、新バージョンは約90分になる予定。どちらもルカによる福音書をベースにしているが、アニメーションを通じたストーリー展開のペースは異なる。

「私たちは聖書には言葉がない場面に立ち止まり、前バージョンでは見られなかったような新しい方法でイエスと対話する場面も見られるだろう」とニューウェル氏は言う。「ルカによる福音書から、私たちが本当に楽しいと思う、意味のある、驚くようなシーンが追加され、それを分かち合うことになる」

11月中旬の時点で、推定プロジェクト費用1億5000万ドルの約3分の1が集まっているとニューウェル氏は語った。ニューウェル氏の前任者であるポール・エシュレマン氏が5月24日に80歳で亡くなった後、彼の遺族が記念基金を設立し、彼の栄誉にかけての数件の寄付が貢献した。

ニューウェル氏は、アニメ版が100の言語でスタートし、3年から5年後には実写版と同様に2100言語まで拡大することを望んでいると語った。最新の翻訳はワオラニ族の言語である。米国の宣教師ジム・エリオット氏は、1956年にエクアドルのワオラニ族にキリスト教の福音を広めようとして殺された。ニューウェル氏は声明の中で、この言語版はリクエストに応えたものであり、さまざまなワオラニ・コミュニティの声優を起用していると述べた。

この映画のエグゼクティブ・プログラム・ディレクターであるゲイブ・ハンディ氏は、アニメーションの質は『プリンス・オブ・エジプト』のような他の聖書アニメ映画と同等になるだろうが、新しい映画『ジーザス』では、ピクサーの『トイ・ストーリー』のような映画でも使われている3Dアニメーションが使われるだろうと述べた。

イベント開始前に美術館で行われたインタビューでは、「試作の過程で、デザインやモデリングの一部にバーチャルリアリティを使っている」「映画を作るだけでなく、私たちが応用できるような資産を生み出している」と語った。

プロデューサーたちは、没入型デジタル体験で使用する補助的な映像を作りたいと考えている。例えば、バーチャル・リアリティ・ゴーグルのユーザーは、イエスが十字架刑場のあるゴルゴダの丘に近づくにつれ、ヴィア・ドロローサに沿ってイエスを追いかけたり、聖書にイエスが嵐を鎮めたと書かれているガリラヤ湖の岩場を旅したりするかもしれない。

キャンパス・クルセード・フォー・クライストとして知られていたクルーの創設者である故ビル・ブライト氏は、1979年にオリジナルの映画が米国で公開された後、エシュルマン氏に数十カ国語への翻訳と吹き替えを依頼した。やがて、大学キャンパスでの活動で知られるこのミニストリーは、2022年に2000の(翻訳と吹き替えの)大台を超えた。

2003年に亡くなったブライト氏だったら、44年前に彼がデビューさせた映画の新バージョンをどう思うだろうかと尋ねられたニューウェル氏は、創設者ブライト氏なら好意的に見てくれると信じていると答えた。

「彼はとてもクリエイティブだったので、きっと気に入ってくれると思います」と、25年前、ブライト氏が指導者としての終わりを迎えようとしていたころにクルーのスタッフに加わったニューウェル氏は語った。「若い人たちに手を差し伸べ、彼ら自身にイエスについて分かち合い、インパクトと影響を及ぼす機会を与えるという軌跡を継続するために私たちができることは何についても、彼はすべてを見守ってくれています」

(翻訳協力=中山信之)

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