「平和」という危険な言葉 あの教団は世界「平和」統一家庭連合【聖書からよもやま話260】

主の御名をあがめます。

皆様いかがお過ごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は旧約聖書、詩篇の28篇です。よろしくどうぞ。

詩篇 28篇3節

どうか悪者や不法を行う者どもと一緒に
私を引いて行かないでください。
彼らは隣人と平和を語りながら
その心には悪があるのです。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

「平和」という言葉は本来、とても大切な言葉であり、また人間に欠かせない尊い概念です。しかし昨今、ずいぶんとこの「平和」という言葉は価値を落とされてしまったなと感じます。たとえば、旧統一協会の現在の正式名称は「世界平和統一家庭連合」です。彼らは「平和」という言葉を掲げながら、実際は平和とはかけ離れた活動を行っています。ウクライナを侵略しているロシアのプーチン大統領だって「平和のためにやっているのだ」と主張しています。日本に核ミサイルを向けているいくらかの国の指導者たちも「我らの平和を壊すな」と主張します。

こんな例は他にもいくらでもあるわけです。名前として掲げなくても「平和」を謳いながら、実際には平和とは思えない言動をする人たちがたくさんいます。それは西側でも東側でも、保守派でもリベラル派でもそうです。「平和のために」軍備増強を主張する人もいれば、「平和のために」テロやそれまがいの行動をしてしまう人もいます。「平和のために」戦争が起こるという皮肉な事態だってたくさんあります。

「平和」というのは非常に恐ろしい言葉でもあります。それは、それ自体の意味が恐ろしいのではなく、「平和」という言葉には誰も逆らえないからです。ほとんどすべての人が「平和がいいよね」とか「平和が必要だよね」と言われたら、「そうだよね」と言うでしょうし、ある意味では言わざるを得ません。ですから多少そのやり方に「それはどうかな」と思っていても「平和のためにやっているんです」と大義名分を立てられると、なかなかまっこうからは反対できなくなります。うかつに反対すれば「あなたは平和を不要だと考えているんですね」と変なレッテルを貼られてしまいますから。
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でも人間というのは大義名分とか「錦の御旗」を与えられたときに暴走しやすい性質を持っています。「平和」というのは、その大義名分を非常に得やすい言葉です。もはや言葉自体が大義名分だとさえ言えるかもしれません。だからこそ、僕たちはこの「平和」という大切な言葉を用いるときは、常に自分が暴走していないか、その兆候がないか、自己吟味し続ける必要がありますし、「平和」を掲げる人と会った時にも「この人の掲げる『平和』は本物か?暴走していないか?」と慎重に見極める必要もあります。もちろん、「平和」を掲げて活動している人のほとんどはそんな暴走などせずに、本当の平和を追い求めている人たちだということは言うまでもありませんが、しかし、一部の暴走した人たちのために、僕たちは「平和」をも疑わなくてはいけなくなってしまっています。

「平和」という尊い言葉を、手放しで受け入れることができない時代になってしまいました。これは悲しいことですが、実はこれも現代に始まった問題ではありません。聖書にだってこのように、「悪者が平和を語るんです」という訴えが神様になされているんです。「平和を錦の御旗にして、自分の要求や主張を通そうとする人がいる」という事実は今も昔も変わらないのでしょう。本当に悲しいことではありますが。

それではまた明日。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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