カトリック高松教区 主日のミサは行うが、集うことは控えるとの方針

 

カトリック高松教区(教区長:諏訪榮治郎司教)は27日付と29日付で、「新型コロナ・ウイルスへの対応について」と題する文書を発表した。「各小教区のミサは、主日も平日も通常通りに行って下さい」としたものの、「主日のミサに集うことを控えたい」という方針を示した。

カトリック桜町教会(写真:Abasaa)

高松教区が管轄する四国4県(香川県、徳島県、愛媛県、高知県)のうち、5日現在、徳島県に1人、愛媛県に2人、高知県に7人の感染者が確認されている。

2月27日付で「高松司教区の皆さんに」宛てて諏訪司教が出した「新型コロナ・ウイルスへの対応について」と題する文書の全文は次のとおり。

四旬節を迎え、あらためて悔い改めへの呼びかけを意識する時期となりました。ともに、希望をもって、祈り、節制(断食)、慈愛に努めたいと願っています。

心配しておりましたが、四国にも新型コロナ・ウイルスによる発症が見られました。現時点では教区内に感染が広がるかどうかは不明ですが、教区としての方針をお知らせしたいと思います。

今回のウイルスについては「未知の点が多いもののインフルエンザウイルス感染に準じた対策が必要であり、高齢者や基礎疾患を持つ人への感染では重篤化する可能性があり、感染伝播(でんぱ)力は予想以上に強い可能性がある」と言われているのを受けてのことです。飛沫(ひまつ)感染や接触感染で伝播するため、閉じられた場所に多数の人が一定時間過ごしたり、呼吸器から出た飛沫で汚染したものに接触することで感染拡大が起きるとされています。また、感染しても軽症または無症状な状態があり、この間にも感染源となるようです。初期症状としては、軽い熱、のどの痛み、咳、身体がだるいなどが言われています。

1)ミサは義務でなく、私たちへの神さまからの恵みです。しかし、多数の人たちが一緒に過ごすことは感染拡大の危険をおかすことになり、私たちの社会的な責任として主日のミサに集うことも控えたいと思います。国や自治体から公に集会やイベントの禁止などの措置が出た場合には、それに従って下さい。

2)その場合も各小教区のミサは、主日も平日も通常通りに行って下さい。個人的にミサに与(あずか)ることを控えるように勧めるものではありません。

3)しかし、主日も平日も、感染の疑いがある場合にはミサヘの出席は控えてください。

4)一般的な衛生対策としてこまめな手洗いを心がけ、聖堂、信徒会館などの入口に消毒用アルコールを設置するようにしましょう。また、祭壇奉仕をする人、司祭、侍者らは、ミサの前に必ず手を洗い消毒もし、不用意にドアなどに触れないで下さい。

5)感染者に対する排除や非科学的な憶測での差別的言動も見られますが、このような動きに乗せられることのないように御注意ください。感染を防ぐために感染者の「隔離」は当然必要なことですが、それは「排除」とは異なります。私たちには感染した人を心配するより、自分たちが危なくなることを心配する傾向がありますが、このような事態にこそむしろ、私たちが苦しむ人のそばにいて支えていることを感じて貰(もら)えるように心を砕きたいと思います。

6)3月7日に予定されている「宣教司牧評議会」は延期いたします。

なお、事態の推移を見たうえで必要があれば、あらためて連絡いたします。

2月29日付で「高松司教区の皆さんに」諏訪司教が出した「新型コロナ・ウイルスへの対応について(2)」という文書の全文は次のとおり。

2月27日付で「新型コロナウイルスへの対応について」緊急連絡をおこないましたが、小教区での対応についてもう少し具体的な指針を示してほしいとの要望がありました。先の連絡に捕捉させて頂きます。

1)咳(せき)や熱(新型コロナ・ウイルスの感染では熱が出ても「平熱よりやや高い程度」と言われています)のある場合や体調不良の場合には、ミサヘの参加は自粛し、自宅での静修など、祈りの時を持つようにしてください。

2)マスクによる防御を過信しないで下さい。マスクを着用してミサに与(あずか)ることは構いませんが、外出時に着用したマスクには外側にウイルスが付着している危険性があります。マスクをしているからと、不必要に集まること・留まることは避けた方がよいです。

3)聖堂に限らず、大勢の人が閉め切った部屋に留まることはできるだけ避けてください。また、聖堂内でも可能であれば、互いに少し距離を置いてお座りください。

4)聖堂入り口の聖水の使用は、控えてください。容器を空にし、「聖水の使用を一時停止」など、掲示されてはどうでしょうか。

5)ご聖体の拝領時に、ご聖体を口(舌)に受けることは避けてください。感染拡大の危険性を少しでも減らすため、必ず、手で受けて下さい。口での拝領の場合、どうしても司祭の手に触れる可能性があるので、配慮して下さればと思います。

6)平和のあいさつを含め、教会内での握手など身体が触れ合う機会は控えましょう。

7)このウイルスが飛沫感染と接触感染とで伝播することを考え、また、アルコールやせっけんで簡単に消毒できることを考えて、常識的な配慮をお願いします。水道水による手洗いも有効です。

新型ウイルスは一つに危機ですが、四旬節を迎える時でもあり、あらためて私たちの生活態度を見直し、神さまからの悔い改めへの呼びかけに気付くチャンスとできるのかもしれません。お互いに、しっかりと四旬節を過ごせたらと願います。皆さまのためにお祈り申し上げます。

雑賀 信行

雑賀 信行

カトリック八王子教会(東京都八王子市)会員。日本同盟基督教団・西大寺キリスト教会(岡山市)で受洗。1965年、兵庫県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。90年代、いのちのことば社で「いのちのことば」「百万人の福音」の編集責任者を務め、新教出版社を経て、雜賀編集工房として独立。

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