書評「ディアコニッセの思想と福祉実践(木原活信)」【本のひろば.com】

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評者: 木原活信

「底点」の人々と共に生きる天羽道子の生涯
〈評者〉木原活信

 

ディアコニッセの思想と福祉実践
ある奉仕女の人物史を中心に

坂本道子著
A5判・304頁・定価4840円・教文館
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本書は、「ディアコニッセ」(ドイツで困窮者救済をする女性組織)の日本初の志願者・天羽道子さん(ベテスダ奉仕女母の家)の実践思想を詳細な歴史資料から人物史的に分析した研究であり、特にその意義をキリスト教社会福祉学の文脈に即して丁寧に論及した力作である。
著者とは、大学院生の時代から主に日本キリスト教社会福祉学会において三〇年来にわたって交流させて頂いた研究仲間である。また、研究対象である天羽道子さんとは、二〇一九年一〇月(当時九二歳)、同志社大学人文科学研究所主催「キリスト教信仰に基づく女性支援の歴史─かにた婦人の村の半世紀─」という特別フォーラムにお招きし、そのなかで「『共に生きる』ということ─『底点志向者イエス』に倣って─」というテーマで基調講演をして頂いた。その後に会食などを通じてゆっくりと交流したこともあり、本書に描かれている天羽さんの生涯と思想が一層、躍動的にリアリティをもって伝わることとなった。
ところで、本書で採用されている研究方法は人物史とされているが、通常、人物史とは過去の人物を対象とするものであるが、天羽さんは今もご健在であり、ご存命の方を対象とするのは異例である。その際に、メリットとディメリットがある。メリットは史実のなかで不明な点を直接にインタヴューを通して明らかにし、行間を埋めていくことができる点である。本書でも、天羽さんへの直接のインタヴューが歴史資料と有機的連関をもち補完的役割を果たしていた。ディメリットがないわけではない。人物史は偉人伝や伝記とは異なるので、研究対象を批判的に考察、分析することが必要不可欠であるが、ご存命の方を批判的に考察するには困難が伴うということである。
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