狭山事件で再審求め集会 キリスト者も「今年中に」との願いと祈り

「狭山事件」の冤罪を訴える石川一雄さん(84)を支援するため、狭山事件の再審を求める市民集会(同実行委員会主催)が5月23日、日比谷野外音楽堂(東京都千代田区)で開かれ、冷たい雨が降る中、約1200人の市民が集まった。1963年、埼玉県狭山市で起きた高校生殺害事件で、石川さんは1カ月に及ぶ警察の取り調べにより自白を強要され、無期懲役判決を受けた後、32年の獄中生活を余儀なくされた。狭山事件弁護団は2022年8月、東京高裁に11人の鑑定人の証人尋問と万年筆インク資料の鑑定実施を求め事実取調請求書を提出した。

集会で石川さんは、「目が少し不自由になってきたけれども、元気で闘っていく」と訴えた。また、60年前は雑木林があった狭山の地域が、現在はマンションが建つような風景に変わってしまったと、無実を訴えてきた長い年月を振り返りながら「吾が無実叫び続けて60年 動かせ司法満座の声で」と詠んだ。今年3月に再審が決まった袴田事件の袴田巌さんの姉、袴田秀子さんも「巌だけが助かればいいというものではありません。冤罪被害者の皆さん、ぜひがんばって再審開始を勝ち取ってください。今度こそは石川さんの番です」と訴えた。足利事件冤罪被害者の菅家利和さん、東住吉事件冤罪被害者の青木惠子さんらも連帯の声を上げた。

市民集会に先立ち、キリスト者は超教派で「キリスト者前段集会」を開会。日本聖公会聖アンデレホールで開かれた前段集会には44人が参加し、日本キリスト教協議会(NCC)総幹事の金性済(キム・ソンジェ)さんが開会祈祷を、続いて呼びかけ団体から、NCC議長の吉髙叶(よしたか・かのう)さん、部落問題に取り組むキリスト教連帯会議議長の奥村貴充さん、日本カトリック部落差別人権委員会委員長の中村倫明さん(カトリック長崎大司教)、日本基督教団部落解放センター運営委員長の鈴木祈さんらが、団体アピールを行った。

また、マリアの宣教者フランシスコ修道会シスターの細渕則子さんが「私と狭山事件」と題し、自身の関わりを共有したほか、『同和問題』にとりくむ宗教教団連帯会議(「同宗連」)事務局長の我孫子高宏さんが来賓あいさつをした。参加者らは、「なんとしても今年中に再審を」との強い願いと祈りを確認し合った。(報告・上野玲奈=日本基督教団部落解放センター主事)

 

「狭山事件」から60年 〝再審の扉開く最後の大詰め〟 キリスト教諸教派・団体代表ら東京高裁へ要請 2023年3月11日

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