WCC総会レポート メッセージ「共に行動するための呼びかけ」【日本語全訳】

世界教会協議会(WCC)総会メッセージ「共に行動するための呼びかけ」(2022年9月19日「エキュメニカル・ニュース・ジャパン」による)

序説

世界教会協議会のどの総会も、その総会の経験やその働きがもつ心を動かす本質を伝えるためのメッセージを発表してきました。私たちはこのメッセージが私たちの加盟教会の各会衆において読まれるように、そしてすべての教会メディアで出版されるようにお示しするものです。私たちはこのメッセージが幅広く翻訳されて用いられるよう望みます。それを議論し詳細に吟味して、それについてじっくり考え、そして祈るのもよいでしょう。なぜならそれは、キリストが示してくださる一致を私たちが求めるにあたって、この総会に参加した4000人を超える人々の討議や祈りを代弁しているからです。どのようにしてキリストの愛が世界を和解と一致へと動かすのかを見つけるにあたって、共に私たちが一致できるように、私たちはこのメッセージを今あなたに委ね、それをすべてのキリスト者や善意ある人々に伝えるよう求めます。

共に行動するための呼びかけ

「キリストの愛が私たちを捕らえて離さないのです」(コリントの信徒への手紙二5章14節、聖書協会共同訳)

「私のもとに来なさい」

1.地上を旅された時から、そしてこの現在の時においてさえも、イエスは絶えずこれらの言葉を一人ひとりの人間に向けておられます。イエスの生涯や言葉そして行動は、動きへの絶え間ない招きなのです一つの物理的な場所からもう一つへ、人々の一つの集団からもう一つへ、一つの考え方からもう一つへ。何よりも、世界の諸問題のただ中で、イエスは私たちに彼のところへ来るよう、そして全世界のために捧げられた愛である、彼の愛のうちにとどまるよう、招いておられるのです(マタイによる福音書11編28を参照)。

2.聖書の最後の書である、ヨハネの黙示録は、世界の中で働いている人間の災いがもつ古来の力について語っています:戦争や死、病気、そして飢きんです。世界教会協議会の総会 が2022年にカールスルーエで集まるにあたって、私たちはそれらの災いの力が今日の世界において顕在化していることを意識していました。それらに続いてくるのが、不正義と差別であり、そこで権力を持つ者たちは、しばしばそれを利用して、包容や正義そして平和を築くよりもむしろ、他者を抑圧するのです。

3.個人や民族、そして国々もまた、無責任で壊された被造世界との関係に直接起因している破局に直面しており、それが生態学的な不正義と気候危機につながったのです。気候緊急事態が加速するにつれて、貧しくされ疎外された人たちが体験する苦しみもそうなるのです。

4.しかしながら、世界教会協議会の総会として共に自らの巡礼を続けることで、私たちの雰囲気は期待と希望、そして喜びのものにさえなってきています。なぜなら聖霊の力を通じて、キリストの招きは一人ひとりに、実は被造世界全体に開かれているからです。

5. 「キリストの愛が世界を和解と一致へと動かす」。この愛は、苦しんでいる人たちの叫びに応えて、連帯のうちに彼のところに来るように、そして正義のために応えて行動するようにせずにはいられない気持ちにさせるのです。私たちは神の愛のうちに和解するよう招かれているのです(ヨハネの手紙一4章9節~11節)。

私たちは神の愛のうちに和解するよう、そしてキリストにおいて明らかにされたその愛を証しするよう、招かれています。

6.和解は神への、そしてお互いへの動きです。それは神に、そしてお互いに耳を傾ける心構えを示すものです。それは利己心や無関心から包含と奉仕への回心であり、被造世界との私たちの相互依存を認めることです。私たちは、自らの心のすべてをもって神と隣人に仕えたいと願っても、自らが失敗し、意見が合わず、そして時には逆の方向へ歩んできたことを告白します。私たちは、キリストの愛がもつ、真に和解し一致した世界へと動くよう変える力を必要としていることを告白します。

7.キリスト者たちは、そしてキリスト者たちが築いてきた構造は、他者の虐待に共犯するものでもあったのであり、そして悔い改めて和解の運動に加わらなければならない戦争や不平等そして被造世界に対する罪に直面して、すべての人々はキリストの愛によって悔い改め・和解そして正義へと招かれているのです。

私たちの一緒の旅

8.私たち全体の多様性のただ中で、私たちは共に引き受けるべき正義と和解そして一致の巡礼があることを、自らの総会で改めて学びました。

ドイツで共に会し、私たちは戦争の犠牲と和解の可能性について学びます。

神のみ言葉を共に聞き、私たちは自らの共通の召命を認識します。
共に耳を傾けて語り、私たちはより身近な隣人同士となります。
共に嘆き、私たちはお互いの痛みや苦しみに自らの心を開きます。
共に働き、私たちは共通の行動に同意します。
共に祝い、私たちはお互いの歓喜や希望に喜びます。
共に祈り、私たちは自らの伝統がもつ豊かさや私たちの分断がもつ痛みを発見します。

「全世界へ行きなさい」

9.ご自身の昇天の時から、そしてこの現在の時においてさえも、キリストは絶えずこの命令をご自身に従うすべての者たちにお与えになるのです。

10.和解が私たちを神やお互いへと近づける時、それは神の愛に基づく一致へと道を開くのです。キリスト者として私たちはキリストの愛のうちに住まい一つとなるよう招かれています(ヨハネによる福音書17章)。そのような一致は、神からの賜物であり、和解から生じるものであって、彼の愛に根差しており、世界の緊急の諸問題に取り組むことを私たちに可能にしてくれます。キリストの愛に基づいた一致から、私たちは行動する強さを見つけます。なぜならそれは平和を作ることを学び、分断を和解へと変え、そして私たちの生ける地球のいやしのために働くことを、私たちに可能にするからです。キリストの愛が、一人ひとりを包容し排除を克服する務めにおいて、私たち皆を支えてくれることでしょう。

11.私たちは352の加盟教会から自らのエキュメニカルな協力者たちや他の信仰共同体からの友人たち、そして世界のすべての地域から自らの多様性のただ中で一致を求めるために共に集まって、そのような愛の体験を味わいました。共に私たちはこの世界でしばしば疎外されている声に耳を傾けました。女性や青年、障がいを持つ人々、先住民族です。

12.私たちはもっと幅広い運動を、全人類の、そして実に全宇宙の和解と一致を切望します。これは、神が正義を、すべての人々に平等な場所を確立し、それによって被造世界が新しくされ強められうる一致となるでしょう。私たちはキリストの愛に依り頼み、気候正義のために行動し訴えます。私たちは、「戦争は神のみ旨と矛盾する」としたアムステルダム総会(1948年)や、「人種差別は神に対する罪である」としたナイロビ総会(1975年)と声を合わせます。私たちはこれらの声明を繰り返さなければならないことを嘆きます。

13.私たちの総会で、私たちは多くの言葉を使ってきましたが、しかしこれらから私たちは新たな決意を作り出しました。いま私たちは、自らの約束を行動へと変えるために、神の助けを求めます。私たちは善意あるすべての人たちと共に働くことへの責務を負います。私たちはカールスルーエにおける自らの働きの成果について省察しつつ、すべての人々に共に巡礼者となるよう招きます。なぜなら、キリストにおいて、すべてのものが新しくされるでしょうから。最後のもの、最も小さき者、そして迷えるものを含め、すべてに開かれ、そしてすべてにもたらされている彼の愛は、正義・和解と一致の巡礼において、私たちを動かし力づけることができるのです。

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