【ウクライナ侵攻】 日本聖公会、日本福音ルーテル教会、改革派が相次いで声明

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日本聖公会(武藤謙一首座主教、上原榮正正義と平和委員⻑)は3月2日、「私たち、日本聖公会はキリスト者としてロシア軍のウクライナ侵攻に反対し、強く抗議します」と題する声明を発表し、プーチン大統領に、核兵器の使用をほのめかす発言を撤回し、核兵器を使用しないことを確約するよう要請。太平洋戦争末期の沖縄戦の教訓として、「戦争は残忍で、汚辱にまみれたものであり、戦争を起こすのは人間であるが、それ以上に戦争を許さない努力が出来るのも人間ある」と述べ、ロシア軍の撤退と戦争の中止を求めた。

日本福音ルーテル教会(大柴譲治議長、小泉基社会委員会委員長)は、2日に発表した「ロシアのウクライナ軍事侵攻に対するわたしたちの立場と人道支援の呼びかけ」と題する文書で、すべての暴力に反対し、即時停戦と平和を求めるルーテル世界連盟(LWF)の2月25日の声明「ウクライナに平和の回復を」に賛同することを表明。ウクライナ・ドイツ福音教会と近隣国のルーテル教会を通したウクライナ人道支援への協力を呼び掛けた。また、災害支援献金から7500ユーロ(約100万円)をLWFに送金したことを報告した。

日本キリスト改革派教会大会「宣教と社会問題に関する委員会」(弓矢健児委員長)は4日、「ロシアによるウクライナ侵略に抗議し、平和的手段による解決を求める声明」を発表した。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、国連憲章の精神を無視する侵略行為であり、世界全体の平和と安定に逆行する行為だと指摘。「戦争によって、人間がかけがえのない命を奪い合うことは、命の創造者であり、愛と恵みに富みたもう神に敵対する大きな罪」であるとし、両国の真の和解の実現を祈った。

全文は以下の通り。


私たち、日本聖公会はキリスト者としてロシア軍のウクライナ侵攻に反対し、強く抗議します。

イエス・キリストは世界を平和にするために、自らの命を十字架に掛けられ、敵意という隔ての壁を取り壊し、敵意を滅ぼしました。私たちキリスト者は、世界を神の国、平和な国にすることを強く求めます。

今、ロシア軍のウクライナ侵攻により、多くの建物が破壊され、命が失われ、傷ついております。特に、女性、幼子、障害をもった人々は、住む場所を奪われ、逃げ場を失い、恐怖と不安の中に怯えながら、日々を過ごしております。

弱く、小さく、貧しくされた人々が、安心し安全に暮らす日を取り戻すためにも、ロシア軍がウクライナから速やかに撤退し、戦争の恐怖から人々を解放することを求めます。また、プーチン大統領は核兵器の使用をほのめかす発言をしておりますが、核兵器の使用はもちろん、核兵器使用の発言体許、ウクライナ国⺠だけでなく、世界の人々を恫喝することであり許されません。特に日本では、第2次世界大戦末期、広島、⻑崎に原爆が投下され、町が破壊され、多くの人々が尊い命を失いました。そして今も、原爆の後遺症に苦しむ人々が大勢おられます。人類を破滅へと向かわせる死の兵器は持つべきではありません。核兵器の使用と使用をほのめかす発言は、人々を恐喝し恐
怖に落とすものです。認めることは出来ません。発言の撤回と核兵器使用をしないことを確約して下さい。

太平洋戦争末期、沖縄では4人に1人の住⺠が命を失いました。その時の教訓として、戦争は残忍で、汚辱にまみれたものであり、戦争を起こすのは人間であるが、それ以上に戦争を許さない努力が出来るのも人間あることを学びました。戦争は愚かなことです。後に残るのは、後悔と憎しみと悲しみの連鎖です。

1日も早くウクライナからロシア軍を撤退し、戦争を止めることを求めます。

2022年3月2日
日本聖公会
首座主教 主教 ルカ武藤謙一
正義と平和委員⻑ 主教 ダビデ上原榮正


ロシアのウクライナ軍事侵攻に対するわたしたちの立場と人道支援の呼びかけ

ルーテル世界連盟 声明「ウクライナに平和の回復を」

ルーテル世界連盟は、ウクライナに対するロシアの軍事攻撃を深く憂慮します。

命が失われ、傷つけられ、資産は破壊され、人々は退去させられ、緊張が高まっており、ウクライナとその周辺地域において、またヨーロッパ全土に渡って、紛争は深刻かつ危険な状況に向かっています。

キリスト者として、私たちは平和の使者であることへと召し出されています。「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。」(マタイ5:9)。それゆえに、私たちはあらゆる形態の暴力を非難します。

私たちは即時停戦と平和の回復を求めます。人権ならびに国際人道法は、この紛争における全ての関係者によって尊重されなければなりません。民間人と民間のインフラストラクチャーは守られなければなりません。

退去させられ、緊急の人道支援を必要としている人々を含め、影響を受けたウクライナの人々との国際的な連帯を私たちは求めます。国境を開放し、戦争行為から逃れてくる人々を迎え入れることを各国政府に私たちは求めます。

ウクライナおよび、基本的生活必需品、避難所、牧会的・心理的支援を含む援助を提供する周辺諸国にある教会への支援を私たちは求めます。

平和が勝利しなくてはなりません。人間の尊厳が守られなければなりません。

2022年2月25日
ルーテル世界連盟事務局長 アンネ・ブルクハルト

またわたしたちは、ルーテル世界連盟が呼びかけているウクライナ・ドイツ福音教会と近隣国のルーテル教会を通したウクライナ人道支援への協力を、みなさんに呼びかけます。

日本福音ルーテル教会は、連帯献金としてすでに献げられている災害支援献金から7500ユーロ(約100万円)をルーテル世界連盟に送金いたしました。思いを寄せて下さるみなさまには、以下の呼びかけと送金先をご確認の上、どうぞご支援をお寄せ下さい。

「平和の神があなたがた一同と共にいてくださいますように、アーメン。」(ローマ15:33)

2022年3月2日
日本福音ルーテル教会
議長 大柴譲治
社会委員会委員長 小泉 基


ロシアによるウクライナ侵略に抗議し、平和的手段による解決を求める声明

「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる」(マタイによる福音書26章52節)

私たち日本キリスト改革派教会は、本年2月24日から始まったロシアによるウクライナへの侵略行為に強く抗議するとともに、ロシア軍がすみやかにウクライナから撤退し、平和的手段による紛争解決に努力することを求めます。

1.ウクライナへの軍事侵攻は国連憲章に違反する侵略行為です

国連憲章の第1章第2条は、すべての加盟国に「その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない」、「国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」と求めています。さらに、第6章第33条においても、国際紛争の平和的解決追求の義務が明記されています。

しかし、このたびのロシアによるウクライナへの軍事的な侵略行為は、このような国連憲章の精神を無視する、国際法における法と正義の秩序を踏みにじる侵略行為であり、ウクライナの人々の生命や人権を脅かし否定するものにほかなりません。両国間の紛争は、時間をかけて平和的手段をもって解決されるべきものであり、それ以外に真実の解決はありません。今回のような軍事力によって一方的に現状変更を企てる行為は、ヨーロッパ全域にさらなる混乱をもたらすのみならず、世界全体の平和と安定に逆行する行為です。さらに、ロシアのプーチン大統領によって表明された核兵器による威嚇やその使用は絶対にあってはならないことです。私たちはプーチン大統領のこうした発言に強く抗議するとともに、すべての核保有国が核兵器禁止条約を批准し、核廃絶に向かうようにも求めます。

2.ウクライナとロシアのためのとりなしと和解を祈ります

ロシアによるウクライナへの軍事攻撃が行われている中、ウクライナの一般市民、特に幼い子どもたちも戦争の犠牲になっています。また、ロシア軍、ウクライナ軍の双方にも犠牲者が生まれています。戦争によって、人間がかけがえのない命を奪い合うことは、命の創造者であり、愛と恵みに富みたもう神に敵対する大きな罪です。失われてよい命は一つもありません。平和の主イエス・キリストから平和を実現する者としての使命を与えられている私たちは、武力(=剣は決して平和をもたらさず、武力を用いる者は武力によって滅びるという真理を改めて主張し、ロシアには即刻軍事攻撃を中止し、撤退することを求めます。そして、いま戦争の渦中にあるウクライナの人々の上に、主イエスの慰めと励ましがあり、両国に真の和解が実現するように強く祈ります。

「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる」(マタイによる福音書5章9節)。

2022年3月4日
日本キリスト改革派教会大会
宣教と社会問題に関する委員会
委員長 弓矢健児

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