【信教の自由を守る日】 奈良・コロナ禍に便乗した「緊急事態条項」の危険性を指摘

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日本同盟基督教団「教会と国家」委員会が主催する2・11信教の自由セミナー「コロナ禍における『教会と国家』」が2月11日、日本同盟基督教団生駒めぐみ教会(奈良県生駒市)で行われ、会場からYouTubeでも配信された。

講師の袴田康裕氏(神戸改革派神学校教授)は冒頭、コロナ禍における教会の課題として「集まること、出会うことの困難が教会の霊的危機をもたらした」と警鐘を鳴らし、「牧師の神学的リーダーシップ」「牧会のあり方」「教会の社会的役割」「教会の自律性」が問われたと指摘。「権力の介入を警戒してきたリベラル陣営でさえ『緊急事態宣言』などの強制力を望むという風潮の中、行政からの要請や社会的なプレッシャーを無視はできないものの、教会は主から託された事柄について自律的に決断できただろうか」と問いかけた。

また、「教会と国家」のあり方について聖書の記述をもとに確認した上で、「プロテスタント教会にとって国家権力の問題は『社会的な問題』ではなく信仰の問題であり、内心や魂の救いの問題に矮小化してはいけない。神によって立てられた為政者が神から委託された領域を逸脱するなら、服従の義務はない。私たちは国家ではなく神に仕える人を育てる必要がある」と提起。

戦前戦中の日本の教会が、礼拝で「君が代」を歌い、宮城遥拝をし、神社参拝を正当化し、推進したことを省み、「当時のキリスト者を糾弾するためではなく、同じ過ちを繰り返さないためにこそ歴史を学ぶべき。かつて戦争を無批判に支持した体質が、今日の教会にもないかを検証する必要がある」と訴えた。

具体的な問題として袴田氏は、コロナ禍に便乗するかたちで持ち出された「緊急事態条項」の創設や改憲をめぐる議論に触れ、自民党の憲法改正草案も引用しながら、権力への歯止めを外し、独裁に道を開く危険性を強調。ナチスや香港での悲惨な現実も踏まえ、これらの動向に反対すべき理由として「国家が国民の内心を支配し、信教の自由、政教分離原則、教会の財産権、表現の自由、集会の自由も危うくなる」点を挙げ、「権力が良心を統制することを許さないことはキリスト者の義務。イエス・キリストを主とした自律性こそが教会の命」と結んだ。

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