末期でない患者が安楽死=コロンビア

キリスト新聞社ホームページ

AFP=時事通信によると、南米コロンビアのビクトル・エスコバルさん(60)は1月7日、末期症状に苦しむことなく、自ら人生に幕を引いた。エスコバルさんの安楽死は裁判所の画期的な判断に基づくもので、死の直前に撮影した動画が公開された。

動画は、亡くなる数時間前に撮影され、報道機関に送られた。カトリック教徒のエスコバルさんはその中で、自発呼吸ができなくなる肺疾患との2年におよぶ闘いに勝ったと晴れやかに話した。「誰でも少しずつ、その時に近づく。だから、さようならは言わないで、また会おうと言っておく。私たちは少しずつ、神のみもとに進んで行く」と語った。

代理人の弁護士がツイッターで明かしたところによると、エスコバルさんは西部のカリで、医師の立ち会いの下で亡くなった。

コロンビアは1997年に自殺ほう助を非犯罪化し、昨年7月には高等裁判所が「尊厳ある死の権利」を末期疾患の患者以外にも適用を拡大することを認めた。南米初かつ世界でもまだ珍しい踏み込んだ判断。コロンビアは、国民のほとんどがカトリック教徒で、教会は安楽死にも自殺ほう助にも断固反対している。

NGO「尊厳死の権利財団」のモニカ・ヒラルド氏は、余命半年以上と宣告された慢性疾患患者について「意思に反して、尊厳のない状態で生きることを強いられていた」と述べた。

エスコバルさんは、「私のような変性疾患の患者が安らかな眠りにつける道を開くため、私の話を知ってもらいたい」と話していた。亡くなる直前には「苦しみを終わらせようとしたからといって、神様が私を罰するとは思えない」と語った。(CJC)

関連記事

この記事もおすすめ