元朝日新聞記者・植村隆氏の闘いを記録した『標的』 カトリック正平協が推薦映画に

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日本軍「慰安婦」問題の記事をめぐり激しいバッシングにさらされた元『朝日新聞』記者の植村隆氏と、彼を支える人々の闘いを記録した映画『標的』(2021年、西嶋真司監督)が、第64回JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞、韓国の第33回アン・ジョンピル自由言論賞を受賞したことに続き、日本カトリック正義と平和協議会(会長・勝谷大治司教)は10月15日、同作を「推薦映画」に認定した。今年夏には同協議会の主催により、北海道札幌市で試写会、講演会も行われた。

JCJは1958年に同賞を設けて以来、新聞・放送・出版などにおける毎年の優れたジャーナリズム活動や作品を表彰してきた。アン・ジョンピル自由言論賞は権力などに屈することなく、言論の自由の促進や真実の報道で卓越した業績があった人に与えられる賞で、1987年以来、毎年授与を行ってきた。

RKB毎日放送のディレクターだった西嶋氏=写真下=は、この問題でドキュメンタリー番組を作ろうとしたが、企画が通らなかったために退社、独立して本作の制作に注力。クラウドファンディングで費用を募り、「民主主義の根幹を揺るがすジャーナリズムの危機」に警鐘を鳴らした。

植村氏は、中傷した人物らを名誉毀損で訴えて敗訴したが、「捏造」という指摘の根拠がずさんだったこと、事実が改変されていたことなどが明らかにされた。

10月22日にオンラインで行われたトークイベントで植村氏は、韓国カトリック大学の教授として招聘された後、民主化闘争を支えた金寿煥(キム・スファン)枢機卿の生き様や、戦後50年、70年に出された司教団メッセージに感化され洗礼を受け、カトリック信徒になったと打ち明けた。『標的』には、大学内の風景や神父による納骨式などの場面も登場する。

また、バッシングの中心的役割を果たした西岡力(つとむ)氏(麗澤大学客員教授)もプロテスタントの信徒であることについて問われると、「さまざまなキリスト教の立場があるだろうが、良心的とは言えない。ぜひ(自身も持ち歩いている)司教団発行の冊子『平和を実現する人は幸い』をお見せしたい」と答えた。

西嶋氏は、「たとえ意見が異なっても認め合えるのが民主主義。裁判の結果にかかわらず、記者やその家族を脅迫することは決して正義ではない。日本にとって不都合な歴史でも正しく伝えるか、歪曲して都合よく書き換えるかが問われている」とコメントした。

日本カトリック正義と平和協議会では、自主上映会を企画中。上映に関する問い合わせは、メール(contact@documenta.jp)またはファクス(092-407-1366)で「ドキュメントアジア」まで。

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