【インタビュー】東京基督教大学学長 山口陽一さん(後編) 人や世界とのギャップにキリストと共に立つ働き人を育てる

 

東京基督教大学(TCU、千葉県印西市)の山口陽一学長に、後編では大学の目指すところについて話を聞いた。

卒業礼拝での山口陽一学長=8日、東京基督教大学(千葉県印西市)で

──TCUの学生たちにどのようなことを感じますか。

TCUは、神の国の多様な働き人を育成することが目的です。教会教職者と信徒はキリストへの同じ献身、異なる職務と考えています。学生たちは自分への召命を受け止め、自分の道をしっかり見いだしていると思います。

「何をしていいのか分からない」というのが今の若者の大きなテーマです。TCUの学生も例外ではありませんが、キリストとの出会いを経験して、愛されていることに気づいていますし、教会という居場所も持っているので、その点では安心しています。TCUでは、それぞれの個性と賜物(たまもの)を生かす教育をしていますので、良い味を出してクリスチャンとして証しを立てていると感じています。

──クリスチャンばかりの寮生活から一般社会に出ていくわけですが、学生たちに不安はないでしょうか。

学生も教職員も全員クリスチャンという環境から離れることは確かに緊張することでしょう。しかし、大学らしい広い学びと濃密な寮生活の訓練はそのための備えです。また、教会教職課程の学生だけでなく、神学専攻と国際キリスト教福祉学科の学生も、全員が教会実習を4年間します。教会とのつながりは卒業後も変わらないので、大きな力になっています。加えてTCUは、卒業生の生涯を応援していきたいと思っています。

──大学があるのは、古い農村とニュータウンの境目とお聞きしました。地域との関わりはいかがでしょうか。

いちばん地域に貢献していると思うのは音楽です。教会音楽専攻科の教員と学生が魅力的なコンサートを企画しています。また、コンサートが行われるチャペルも磯崎新氏の設計で、マルク・ガルニエ氏によるパイプ・オルガンともども大きなインパクトを発揮しています。印西市の市民講座と本学のコンサートとの連携、大学祭(シオン祭)、市民クリスマスへの会場提供、千葉県キリスト教史研究など、さまざまな地域連携があります。

また、キリスト教福祉学専攻を持っているのも大きいですね。地域の福祉事業所への協力によって、学生の実習を受け入れてもらったり、卒業生がそこに就職したりするなど、地域と密接につながっています。昨年から地域の福祉従事者のための介護福祉士実務者研修も始めました。

あと、留学生が地域の学校に行って英語や韓国語を教えたりしています。私たちが持っている特徴が地域連携に役立っています。さらに福音主義の神学をもって、地域に根ざし、地域に貢献していきたいと思っています。

──これからTCUが目指すところを教えてください。

今日(3月8日)、39人が卒業し、4月の入学式では64人の新入生(秋入学を含む)を迎えることになります。

TCUでは今、「Stand in the Gap──破れ口にキリストの平和を」をコンセプトに大学改革を進めているところです。信仰における「神」との破れ口(Gap)。心に傷を抱え、自分と和解できないという「自分」の破れ口。人間関係がなかなか作れないという「人」との破れ口。そして、この「世界」の破れ口。あらゆる「破れ口」に和解の福音によって立ちたもうのがキリストです。キリストと共に破れ口に立つ神の国の働き人を世界に送り出したいと思っています。

──最後に、学生に向けてメッセージをお願いします。

今年の秋からTCU創立30周年記念プロジェクトが始まります。学生の皆さんのための教育環境を整えることを教職員一丸となって一所懸命取り組みます。TCUの教職員98人(専任46人)と学生200人は、神の賜物の結集による「宝」です。皆さん一人ひとりと向き合いながら、「破れ口にキリストの平和をもたらす人」となっていきましょう。(前編に戻る)

 






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