沖縄「慰霊の日」にカトリック正平協が談話 「軍事同盟に頼らない自立した外交を」

日本カトリック正義と平和協議会(ウェイン・バーント会長)は6月23日、沖縄慰霊の日にあたって談話を発表した。沖縄の日本「復帰」50年を迎えた今もなお、本島の15%を米軍基地が占め、騒音や墜落事故の危険、米兵による傷害事件などと隣り合わせの生活を強いられていると訴えた。

この50年の間に日本のカトリック教会と同協議会が発表してきた沖縄に関する声明は11件にのぼる。談話では、「沖縄から基地がなくなり、人権と自治が回復することを祈ってきました。しかし残念ながら、これらで訴えてきた問題は何一つ解決されていません」と述べ、「21世紀となった今も、沖縄の命は本土のために見捨てられたままだと言わざるを得ません」と強調。平和への決意を新たにするとともに、日本政府に対して「いかなる国とも戦争をしない、軍事同盟に頼らない、自立した外交を推し進める」ことを求めた。

全文は以下の通り。


談話 沖縄慰霊の日にあたって

 今年は1972年5月15日、沖縄が日本に「復帰」してから50年の節目の年です。沖縄は、第二次世界大戦後のサンフランシスコ講和条約により日本が主権を回復したのちも、米国による支配が継続し極東太平洋軍事拠点として使われてきました。今もなお本島の15%を米軍基地が占め、騒音や墜落事故の危険、米兵によるレイプを含む傷害事件などと隣り合わせの生活を強いられています。

この50年の間に、日本のカトリック教会及び日本カトリック正義と平和協議会が発表した沖縄に言及する声明は、別紙のように、11件にのぼります。私たちはこれらの声明で沖縄の基地が、面積においても、手続きにおいても本土と比較して明らかに不平等であることを訴えてまいりました。沖縄では人権が大きく損なわれ、自治権さえ蔑ろにされています。私たちは沖縄から基地がなくなり、人権と自治が回復することを祈ってきました。しかし残念ながら、これらで訴えてきた問題は何一つ解決されていません。

現在、米国は中国の急速な台頭を警戒し、日本政府は日米安全保障条約を背景に、中国の太平洋進出の防波堤とするための陸上自衛隊ミサイル部隊を、南西諸島に次々に配備しています。また、2022年2月24日に始まるロシアによるウクライナ侵攻によって、東アジアでも戦争が起こるのではないかという危機感を強調する動きが、日本社会に拡がっています。これに便乗する形で日本政府や一部の政党は軍備増強、および憲法9条への自衛隊明記などを推し進めようとしています。日本が戦争に巻き込まれることになれば、まず標的となるのは沖縄をはじめとする全国の基地施設であり、甚大な被害が生じるのは必至です。

太平洋戦争末期、本土決戦を妨げるために沖縄では壮絶な地上戦が行われ、民間人の四人に一人が命を落としました。6月23日は、その失われた命を決して忘れないための日です。しかし21世紀となった今も、沖縄の命は本土のために見捨てられたままだと言わざるを得ません。

カトリック教会は、一貫して日本国憲法に基づく平和主義の実現を求め、祈ってまいりました。日本政府が進める辺野古の米軍基地、南西諸島の自衛隊基地の建設事業は軍拡競争を加熱させ、戦争に巻き込まれる危険をより高めるものです。日本政府には、いかなる国とも戦争をしない、軍事同盟に頼らない、自立した外交を推し進めるよう求めます。

沖縄戦で犠牲になったすべての方のために祈るとともに、平和への決意を新たにしたいと思います。

日本カトリック正義と平和協議会
会長 ウェイン バーント
担当司教 エドガル ガクタン
協議会一同

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