昔と今の「国民負担率」【聖書からよもやま話562】

主の御名をあがめます。
皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。

本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は  旧約聖書、創世記の47章です。よろしくどうぞ。

創世記 47章24節

収穫の時になったら、その五分の一はファラオに納め、五分の四は自分のものとしなさい。畑の種にするため、自分の食糧にするため、家の者のため、また扶養すべき者たちの食糧のために、そうしなさい。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

エジプトに大飢饉がやって来た時、大臣だったヨセフはそれに備えて大量の食糧を備蓄し、まずは銀と引き換えにそれを放出しました。飢饉が長引いて民の懐に銀がなくなると、今度は家畜と引き換えに放出しました。さらに飢饉が長引いて民から家畜さえもなくなると、ついには土地と引き換えに放出しました。こうして民は命を保つために銀も家畜も土地も失ってしまい、それらはすべてファラオのものになりました。これでは民は生きていけません。しかしヨセフは民に言いました。

「土地はすべてファラオのものになったけれども、この種をあげるからその土地に君たちは種を蒔きなさい。そしてその収穫の5分の1をファラオに収めれば、残りの5分の4は君たちのものにしていいよ」

税率20%!食糧のために国民からすべての財産を奪ったのはえげつなく思えますけれど、この税率はなんだかすごく国民に優しく見えます。当時のエジプトは暮らしやすい国だったのか暮らしにくい国だったのか、よくわからなくなってきます。
ちなみに2024年の日本の国民負担率は46.2%だったそうですから、それと比べるとこの20%というのはとても安い税率に思えます。江戸時代でも税率の相場は「四公六民」や「五公五民」だと言われていましたが、実は収穫量つまり「年収」の把握がちゃんとはできていなかったので実質の税負担は2〜30%くらいだったのじゃないかと言われています。そう考えると現代日本の46.2%という国民負担率はべらぼうに高いんじゃないか・・・

とはいえ、単純比較できるものでもありません。当時のエジプトや江戸時代の社会には社会保障などのセーフティネットはほぼありませんでした。何らかの理由で働けなくなれば生きていけなくなってしまいますし、働くための技術や知識を得るための教育もすべて自腹でした。現代日本にはセーフティネットも教育インフラも社会インフラも整っています。さてそういった現代ならではの「恩恵」をさっ引いて、果たして今の国民負担率はどうなんでしょうね。

下がれば嬉しいし、下がってくれと願うけれども、下がったら下がったで不安になるのも税というもの。適切な税率というのは人類が歴史を通してずっと直面し続けて来た難題です。これに明確に「これだ!」という答えを出せる人はいるのでしょうか。どんな税率にしても、必ず不満を抱く人はいるでしょう。たとえ0%にしたとしても、「金持ちから税金をとって、貧しい人に分け与えるべきだ」と主張する人は必ずいるでしょう。うーん、考えれば考えるほど難しい・・・。でもだからこそ、みんなが少しずつでも考えることが大切なんでしょうね。

主にありて。

MAROでした。

【おねがい】
クリプレは皆様の献金により支えられています。皆様から月に300円の献金をいただければ、私たちはこの活動を守り、さらに大きく発展させてゆくことができます。日本の福音宣教のさらなる拡大のため、こちらのリンクからどうか皆様のご協力をお願いいたします。

横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

この記事もおすすめ