悪習はすっぱりと「聖絶」してしまうことが肝要【聖書からよもやま話522】

主の御名をあがめます。

皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は 旧約聖書、サムエル記第一の15章です。よろしくどうぞ。

サムエル記第一 15章9節

サウルとその兵たちは、アガグと、肥えた羊や牛の最も良いもの、子羊とすべての最も良いものを惜しんで、これらを聖絶しようとしなかった。ただ、つまらない値打ちのないものだけを聖絶したのである。

(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

サウル王がアマレク人と戦ったとき、神様はサウルに「この戦争、君に勝たせてあげるけれども、アマレク人は滅ぼし尽くしなさい。何一つ残してはいけないよ」と言いました。サウル王の軍勢は1万、それに対してアマレク人の軍勢は20万でした。神様の助けなしにはとても勝てない情勢でした。それでサウルは「はい、わかりました」とその命令を受け入れ、本当に戦争に勝ちました。しかしサウルは「何一つ残してはいけない」と言われたのに、「これはもったいないから」と、アマレク人の家畜や財産を自分のものとしてとっておいたのでした。

旧約聖書ではときどき、神様が「敵を滅ぼし尽くせ。何一つ残すな」という命令をします。いわゆる「聖絶」と言われるものです。これは現代人にとって、「これだから聖書は残酷だし排他的だよね」なんて言われてしまうものですし、クリスチャンであっても「神様はどうしてこんな残酷な命令をするのだろう?」と大いに疑問に思うところでもあります。

そんな「聖絶」自体の賛否はとても難しい話になりますから一旦脇に置いておくとしますが、しかしこの「聖絶」の命令から僕たちが学びとれるものも明らかにあります。たとえば何か悪い習慣をやめるとき、僕たちはなかなか完全にそれをやめることができなかったりします。「暴飲暴食をやめよう」と思っても「年末年始の宴会シーズンは仕方ないよね」とか、「パチンコをやめよう」と思っても「月に一度の給料日の後くらいはいいよね」とか、ついつい自分に言い訳をしてすっぱりとその悪習を断ち切ることができません。

クリスチャンも「世の価値観から離れて生きよう」と決意したはずなのに、それでもやっぱりお金が好きだったり名誉が好きだったりします。その度になにか言い訳をつけて、すっぱりと世から離れられない自分を正当化しようとしたりします。

サウルもこれと同じでした。「だってアマレク人の財産の中で、使えるものは神様のために使おうと思ったんです」と言い訳をしつつ、実際はその財産で自分の懐を温めてしまっていました。「全部を放棄しろ」と言われたのに、価値のないがらくただけを放棄して、「これはもったいないな」と思うものはみんなとっておいてしまっていたのでした。

こう考えると僕自身もこの「聖絶」の話で、耳が痛くなります。クリスチャンとして生きる決意をしながらも、まだまだ世の価値観や世の幸せから離れられずにいます。僕もまた僕の脳内の「アマレク人」を絶やし尽くせてはいないんです。そんな難しいことでなくても、「今日から毎日早く寝るようにしよう」と決めても、つい「週末くらいはいいよね」と夜更かしをして、そこから生活リズムが乱れて結局もとの夜更かし生活にすっかり戻ってしまったりします。自分の何かを変えるときは、時にとことん徹底してやらなければならないことがあるんです。「ちょっとだけならいいだろう」のそのちょっとが、すべてを台無しにしてしまうことがあるんです。

それではまた。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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