上司が部下に嫉妬するとろくなことはない【聖書からよもやま話436】

主の御名をあがめます。

皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は旧約聖書、 サムエル記第一の18章です。よろしくどうぞ。

サムエル記第一 18章8節

サウルは、このことばを聞いて激しく怒り、不機嫌になって言った。「ダビデには万と言い、私には千と言う。あれにないのは王位だけだ。」(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

サウル王は部下のダビデを初めは気に入って可愛がっていましたが、次第に彼を嫌うようになりました。それはダビデが次々に大きな戦功を立てて、人々が「サウルは千を討ち、ダビデは万を討った」としきりにダビデを褒め称えたからでした。サウル王は部下であるダビデに嫉妬したのでした。やがてこの亀裂はさらに大きく広がり、サウル王はダビデの命を狙うようになりますし、最後はダビデによってサウル王は非業の死を遂げることとなります。

上司が部下に嫉妬する。現代社会でもありがちなことですが、これほど非生産的なこともあまりありません。上司は部下の功績を単純に喜べばいいんです。部下が功績をあげれば、それは自分の功績にもなるんですから。部下のダビデが優秀なら、それを従えるサウルも立派な王様だということになるのですから。歴史を見渡してみましても、上司が部下に嫉妬して良い結果になったことなんてありません。

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UnsplashHassan Pashaが撮影した写真

しかし、サウルの気持ちもわかります。サウルは他の王とは違い、血統によって選ばれた王ではありませんでした。もし血統によって選ばれていたなら、ダビデがいくら功績をあげても「彼は王族の血を引いていないのだから自分の地位が脅かされることはない」と安心もできたのでしょうが、サウルにはその安心はありませんでした。サウルは神によって「はい、君が今日から王様だからよろしく」と選ばれた王でした。「神に選ばれた王」なのですから、彼が信仰篤い人であったなら「神様に選ばれたのだから」と堂々とその地位に座り、ダビデの功績も素直に褒めることができたでしょう。しかし残念ながらサウルは信仰の人ではありませんでしたから「神に選ばれた」という事実では、自分の地位の後ろ盾として頼りないと思っていたのかもしれません。それで「ダビデに自分の地位が脅かされるのではないか」と恐れたんです。

王に限らずどんな地位や仕事であれ、「自分は神によってここに置かれているのである」という自信があるのなら、心は穏やかです。他の人に嫉妬する必要なんてありません。しかし現代の僕たちにとっても、それはとても難しいことです。嫉妬というのはどんな人にも大なり小なり起こるものです。だからこそ、そんな嫉妬心が起こった時にこそ「自分は神様によってここに置かれているのだ」ということを思い出したいと思います。

それではまた。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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