神様の愛ある「テープ起こし」【聖書からよもやま話346】

主の御名をあがめます。

皆様いかがおすごしでしょうか。MAROです。
本日もクリプレにお越しいただきありがとうございます。

聖書のランダムに選ばれた章から思い浮かんだよもやま話をしようという【聖書からよもやま話】、今日は 旧約聖書、ヨブ記の19章です。よろしくどうぞ。

 

ヨブ記 19章23節

ああ今、できることなら、
私のことばが書かれ、
書物に記されればよいのに。
(『聖書 新改訳2017』新日本聖書刊行会)

ヨブは嘆きに嘆き、怒りに怒って、「僕のこの声が本になればいいのに!」と言いました。

ヨブさん、ばっちり本になってますよ。しかも世界一の大ベストセラー『聖書』ですよ。2500年後の僕たちもあなたの声を読んでますよ。すごいことですよ。あなたが「この声を書き記してくれ」と叫んだその声まで丸ごと全部、僕たちに届いています。

誰にも届かないように思える僕たちの一つ一つの嘆きや呻き、神様はそれも一つ一つ丁寧に聞いてくださっています。そしてその気になればこのヨブのそれのように、2500年も読み継がれるものにしてくださるほどです。それほど一つ一つの声を丁寧に拾ってくださっているんです。
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人が話す言葉を文章に起こすときは、それを録音しておいて何度も何度も聞き返しながら一つ一つの言葉を落とし込んでいかなければなりません。実は大学生になったばかりの頃、僕はこの「テープ起こし」のバイトをしばらくしていました。これが意外と大変な仕事でして、慣れや技術もあるでしょうが60分のテープを文章にするのに10時間くらいはかかります。話が込み入ってきている箇所なんかは、何度も何度もテープを巻き戻しますからテープが伸びてしまうのではないかと心配になるほどでした。

神様も僕たちの発する祈りや嘆きを、同じように丁寧に、聞いてくださっているんです。ヨブの嘆きを、テープが伸びるほどに何度も巻き戻して、聞いてくださったんです。テープ起こしの仕事って、話す人への愛がなければできません。神様は僕たちを愛しているからこそ、必ずその声をちゃんと聞いてくださっています。だから安心して僕たちは嘆くことができますし、呻くことができますし、祈ることができるんです。

神様がヨブに行ったテープ起こしは、たぶん史上最も愛の深いテープ起こしだったんだと思います。

話は変わりますが、便利な時代になりましたよね。今はテープなんて使わなくてもICレコーダーとか、なんならスマホ一つで録音ができますし、繰り返し聞くのにも「巻き戻し」なんて使わずに済みます。テープが伸びるなんてことも気にせずに。でも確かにせいぜい四半世紀前までは、僕たちはぐるぐるテープを回していたんですよね。時代の変化ってすごいです。しかしとはいえ、人の言葉を文章にする、という仕事の本質は変わっていませんし、そのニーズも変わっていません。使う道具が変わっただけで、人間は結局ずっと同じことをしているんです。

 

それではまた。

主にありて。
MAROでした。

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横坂剛比古(MARO)

横坂剛比古(MARO)

MARO  1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。 キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。2020年7月よりクリスチャンプレスのディレクターに。  10万人以上のフォロワーがいるツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」。 著書に『聖書を読んだら哲学がわかった 〜キリスト教で解きあかす西洋哲学超入門〜』(日本実業出版)、『人生に悩んだから聖書に相談してみた』(KADOKAWA)、『キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)、『世界一ゆるい聖書入門』、『世界一ゆるい聖書教室』(「ふざけ担当」LEONとの共著、講談社)などがある。新著<a href="https://amzn.to/376F9aC">『ふっと心がラクになる 眠れぬ夜の聖書のことば』(大和書房)</a>2022年3月15日発売。

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