主日だった3月1日、新型コロナ・ウィルスの感染拡大により、教会堂での礼拝やミサを中止するところが相次いだ。その代替策として、カトリック東京大司教区をはじめ、さまざまなプロテスタント教会でも、インターネットの動画配信を使ってミサや礼拝が行われ、信徒たちはそれぞれの場所で主の日を守った。
現在、教会堂を閉鎖している日本バプテスト連盟・常盤台バプテスト教会(東京都板橋区)では、前日に録画したものを⽇曜の早朝から配信した。動画制作は教会の伝道部が担当したが、そのリーダーである小牧由香(こまき・ゆか)さんは同教会の役員で、多くの教会のホームページ制作を手がける工房ヒラムの代表も務め、東京バプテスト神学校でのライブ授業を始めた実績がある。
礼拝動画では、教会堂の映像をバックに「家庭主日礼拝」とまずタイトルが出てきて、毎主日と同じく友納靖史(とものう・やすし)牧師が前に立っている姿が映し出される。ただし違うのは、いつもは150〜170人集まるその礼拝堂に会衆の姿がないことだ。そして、前奏から祈祷、賛美というように、家庭礼拝用特別プログラムが進められていく。賛美歌の時は歌詞が、聖書朗読の時には聖句が字幕で入る。
配信当日、教会員から「いま家族と一緒に見ています」、「聖書を開きました」など、リアルタイムでSNSにメッセージが飛び交い、終了後にも「礼拝時間に合わせて見ていました」など感想が送られてきたという。求道中の人からはこんなメッセージが寄せられた。
「一対一で対話しているようで、とても神聖に感じられて素晴らしかったです。ありがとうございました。パソコン画面ではなく、インターネットにつながっているテレビで見ました。画面が大きくて良かったです。もしパソコンやスマホなどを持っていないお年寄りの方でも、ケーブル・テレビなどがあったら、この動画を見られると思います」
初めて礼拝の動画配信をするにあたっては、事前にSNSでグループを作り、分からないところがあればすぐに連絡を取り合えるようにしたという。「そうすることによって混乱もなく、むしろ、いつも以上に教会員同士で礼拝の恵みを分かち合うことができたんです」と小牧さんは話す。
「以前から、ライブ配信にせよ、動画配信にせよ、ただ礼拝を配信するだけではなく、礼拝を分かち合うためのツールが必要だと考えていましたが、今回、期せずしてSNSがその役割を果たすことになり、SNSであっても豊かな交わりができるという良い例になったと思います。インターネットはいろいろな弊害もありますが、教会が正しく使うことで、その恵みがいかに大きくなるか、改めて考えさせられます。それだけに、早くリアルな礼拝に戻って、リアルな交わりをしたいという思いが強まりました。答えの出ないところで、新しい礼拝スタイルが生まれようとしているところに、歴史を導く神の働きを感じています」
カトリック東京大司教区でも、カトリック関口教会(東京カテドラル聖マリア大聖堂、東京都文京区)で菊地功(きくち・いさお)大司教が司式する四旬節第1主日のミサをユーチューブでライブ配信した。菊池大司教は自身のブログで当日の様子をこう述べている。
「ミサは東京カテドラル聖マリア大聖堂の地下聖堂で捧げられ、構内に修道院のある師イエズス修道女会と近隣に修道院のある聖ドミニコ宣教修道女会のシスター方数名にお手伝いいただきました。また映像を作成するにあたっては、字幕などの課題をクリアして作業を進めてくださった関口教会の信徒の方に感謝いたします」
ライブ配信はフェイスブックでも手軽に行うことができる。「zoom」というアプリを使う方法もあるが、その場合、マイクをオフにしない参加者がいると、家庭での会話やペットの鳴き声、騒音などが入ってきて、礼拝が妨げられることになるので注意が必要だ。教会に行けない人がその場にいるように感じる音響にこだわりたいなら、小牧さんの書いた記事を参考にしては。