国内外の宗教者が一堂に会した「世界平和祈りの集い」(主催:天台宗国際平和宗教協力協会、比叡山延暦寺)が4日、天台宗総本山・比叡山延暦寺(滋賀県大津市)で開かれた。仏教や神道、キリスト教、イスラム教などの代表者ら約900人が参列した。
式典は、本堂にあたる根本中堂(こんぽんちゅうどう)近くの「祈りの広場」で開かれた。まず、舞台中央に置かれた透明の球体の中に、全国の青少年らが折った白色や青色などの折り鶴が入れられ、地球に見立てたモニュメントを完成させた。折り鶴は後日、広島の平和記念公園に届けるという。
続いて森川宏映・天台座主(93)が次のように語った。「世界の現実は、自国の立場に固執して、不信を募らせ、武力による威嚇や武力行使は後を絶ちません。こうした争いによる犠牲者の苦しみと悲しみに心を寄せるとともに、暴力と憎悪の連鎖を断ち切り、互いによる協調の力で慈悲の心を育てなければなりません。今ここに集い、共に祈ることの尊さを再確認し、世界の恒久平和実現のため、私ども宗教者は平和への取り組みにいっそう努力し、その使命を全うすることを心からお誓い申し上げます」
日本キリスト教連合会を代表して大塚喜直カトリック京都司教、世界連邦日本宗教委員会を代表して野下千年カトリック長崎大司教区司祭ら、各宗教の代表者11人が登壇し、境内にある「平和の鐘」が打ち鳴らされる中、参列者と共に黙とうをささげた。その後、ローマ教皇庁諸宗教対話評議会などからのメッセージも紹介された。
1986年10月、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の提唱で、世界の宗教指導者がイタリアのアッシジに集い、それぞれの宗教儀礼で世界平和を希求する祈りがささげられた。この集いに参加した山田惠諦・天台座主が、「アッシジの精神」を引き継ぎ、日本でも世界平和祈りの集いを執り行うことを提言。翌87年、世界の宗教指導者が比叡山山頂に集まって、第1回「比叡山宗教サミッ卜」(世界宗教者平和の祈りの集い)が開催された。それを記念し、毎年夏に「世界平和の祈り」が続けられ、今年で32年目となる。また、10年ごとの節目の年には記念の大会が開かれてきた。