上智大学 キャンパスのランドマークが東京都選定歴史物建造物に選定

上智大学(東京都千代田区、学長:曄道佳明)四谷キャンパスの1号館が、6月14日付で、東京都選定歴史物建造物に選定された。1号館は、スイス人の建築家マックス・ヒンデル(1887~1963年)が手がけたドイツ風の学校建築。1932年に完成して以来、四ツ谷キャンパスを代表するランドマークとして親しまれている。

東京都選定歴史的建造物は、歴史的な価値を有する建造物のうち、景観上重要なものとして、東京都景観条例に基づき、東京都知事が選定する。選定に当たっては、①原則として建設後50年以上経過している、②地域のランドマークとしての役割を果たしているなど東京都の景観づくりにおいて重要、③可能な限り建設当時の状態で保存されている、④外観が容易に確認できる、の4つの基準が設けられている。

さらに今回は、マックス・ヒンデル作品の残存例として貴重である点も大きく評価された。ヒンデルは、大正から昭和初期にかけて、日本各地のカトリック教会やミッションスクールを手がけたスイス人の建築家。同大のほかにも、北星学園創立百周年記念館(札幌市厚別区)やカトリック神田教会(東京都千代田区)、カトリック松が峰教会(栃木県宇都宮市)などを手がけたことでも知られる。

札幌に在住していたヒンデルのもとに1号館の依頼がきたのは1927年。その後基本設計を何度も推敲し、1932年に竣工した。当時はエレベーターも設置されるなど、最新の設備と重厚な建築で知られた建造物であり、第二次世界大戦中の東京大空襲を免れ、現在に至っている。

上智大学1号館 廊下(写真提供:上智学院)

また、同館の建設については、興味深いエピソードが残っている。1号館の定礎式は1930年に行われ、その建築資金の調達のために海外で寄付を募ることとなった。 この募金活動を主導したのはドイツ人のブルーノ・ビッテル神父。ドイツだけでなく、オランダ、フランス、アメリカなどのカトリック教会・学校に対して寄付を呼びかける用紙を送付した。

「ご援助いただけませんか?」 で始まる手紙には、1ライヒスマルクと書かれたレンガが 25 個、6段に積み重ねられていて、文中には 「1つでも 2つでもあなたのお名前で埋めてください」と記されていた。「レンガ募金」と名付けられたこの募金活動では、各レンガに寄付者の署名が記され、複数のレンガに署名をして多額の寄付をする人もいたという。世界各国の寄付で建造されたことを物語るこの募金の記録は、現在も上智学院ソフィア・アーカイブズで保管されている。

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