「書店員日記」執筆者が本音トーク コミュニティ形成の場としての可能性も

2017年から続く本紙連載「列島縦断 書店員日記」の執筆者による放談会が11月9日、オンラインで開催され、全国の書店関係者らが一堂に会し、キリスト教出版界の現状と展望を語り合った。

ゲストとして登壇したのは、教文館キリスト教書部店長の吉國選也(よしくに・えりや)さん、オアシスお茶の水店店長の萩原佑太(はぎわら・ゆうた)さん、現在は京都ヨルダン社に勤めるBIBLE HOUSEびぶろすの森(大阪)元店長の森本一平さん。司会は本紙編集長の松谷信司が務めた。

最年長の吉國さんは、出版業界の変遷を振り返り、「SNSで発信力のある著者の本が売れる一方、注解書などの専門書や深く掘り下げるような書籍の売上は減少している」と述べた。また、今日の読者層に即した新しい販売戦略の必要性を強調した。

店長就任から間もない萩原さんは、「顧客のニーズを知り、それに応えること」を心がけていると語り、休日は終日黙想に費やすなど、独自のストレス解消法と、信仰に根ざした書店運営の姿勢を披露した。

森本さんは異業種からの転職経験を活かす中で、顧客との対話を通じて潜在的なニーズを掘り起こし、注文された以外の本を提案する喜びについて語り、書店員としてのやりがいを感じる瞬間として「表紙の色やあいまいな記憶から目的の本を見つけ出すことができた時」を挙げた。

出版業界全体が抱える課題についても議論が及び、特にキリスト教関連書籍の売上減少と、それに伴う専門書店の経営難が深刻であるとの認識が共有された。「たくさん本を読む牧師とまったく読まない牧師の二極化」「教会の図書費・研究費の削減」などが要因として挙げられ、これに対し参加者からは「書店が単なる販売の場を超えたコミュニティ形成の場として機能すべき」との意見も出された。

「教会が貢献できることは?」との質問に対し吉国さんは、「お客様が書店を訪れるだけで、店員の士気が上がり、努力の方向性が明確になる」と応答し、まずは近隣のキリスト教書店に足を運んでほしいと呼びかけた。

また、YouTubeの活用やイベントによる販促など、既存の枠を超えたアプローチを模索する事例も紹介され、地域コミュニティとの協働の可能性についても共有された。

放談会の模様は以下のYouTubeからダイジェストで視聴できる。

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