【あっちゃん牧師のおいしい話】第15回 なぜ食べ放題? 齋藤篤

そして人々は、東から西から、また北から南から来て、神の国で宴会の席に着く。

ルカによる福音書13章29節(聖書協会共同訳)

読者の皆さん、ハッピーイースター!

クリスチャンプレスに『日刊キリスト新聞』の名前が加えられて、新たなスタートを切りました。親愛なるコラムニストの人気コラムが数々終了するなかにあって、食い物のことばかり書いている僕のコラムは打ち切ることなく続きます。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

前回のコラムでは「豆談義 その2」と題して、いなご豆のお話を書きました。この続編は次回ということにしておりましたが、これは次回のコラムで書きたいと思います。なぜならば、そこで書こうと思っていた「いなご豆料理」がまだできていないから。イースターも明けましたので、早速試みようと思います。楽しみにしていてくださった皆さん、すみません! もう少しだけお待ちくださいませ。

ということで、今日はイースターということもありますし、そのことに関係したことを綴(つづ)ろうと思います。

前にもここで書きましたが、イースターに先立つ6回の日曜日を除いた40日間を、キリスト教は長い歴史のなかで「断食の期節」として、信仰者が何かを断つということによって、救い主イエスの苦しみを自分の苦しみと重ね合わせたわけです。そして、その断食のときも明けて、人々はどうなるのかというお話を、今日はしてみようと思います。

僕が2012年にドイツへ渡ったときのことです。3月15日にドイツへ到着、その年のイースターは4月8日でした。ケルンの日本語教会に着任して2回目の日曜日、新鮮な思いでドイツのイースターを迎えることができました。しかし、まだこの頃は何も要領を得ていないので、自分で好きなように料理をすることもできず、スーパーで簡単に買って(パンは焼き立てでいつも美味しいので、それだけでなんとなく満足してしまうのです)、食事を済ませていました。

イースター明けの4月9日月曜日。ドイツはイースター翌日も市民の休日です。私は牧師館のあったデューデナー通り沿い散歩しようと思い、家を出ました。この通りは、東に行けば第二次世界大戦の戦災がれきを丘にしてつくった「ヒロシマ・ナガサキ公園」があって、西に行けば広大な「シュタットヴァルト」という人工森林があります。ちょっと行けば緑がある風景に、随分いやされたものです。

しかし!

このときの私を癒したのは、牧師館のちょっと先にあるカフェレストランでした。Cottas(コッタス)という、ちょっとおしゃれなこのレストラン。気にはなっていたのですが、ドイツ語たどたどしい僕にはハードルが高すぎます。メニューもよく読めないし、店員としゃべることもできない(3年後、この地を離れるときには、仲の良い「ご近所さん」となったのはありがたい話)。しかし、この日だけは違いました。大きなポスターが貼られていて、

ビュフェ!

はい。これだけはちゃんと読めました。つまり、食べ放題のことです。

日本では「バイキング」という名前でよく知られているわけですが、ドイツでは「ビュフェ」という言い方が一般的です。見てみると、ありとあらゆる美味しい食べ物が並べられているではありませんか。特に肉料理がいっぱいあります。散歩するはずだったのが、数十メートル歩いただけで目的変更したのは言うまでもありません。美味しく、そしてお腹いっぱいいただきました。

また、このレストランでビュフェがあるのかなと思い、楽しみにしていたのですが、来る日も来る日もその気配はありません。残念に思っていたのですが、再びこの店にビュフェのポスターが貼られたのは1年後。イースターの日曜月曜の2日間だったのです。そうです。この店のビュフェはイースターの名物イベントだったというわけです。

それで、僕はいわゆる「アハ体験」をしました。ああ、そうだったのか!と。ちなみにアハは、ドイツ語で「ああ~!」と気づくときに使う言葉です。「ア~ハ~!」という感じで使うんだそうです。で、何に気付いたかというと、このビュフェは「断食明けのグルメ」だったんだと。食べる喜び。それは死という縄目から解放された、復活のイエス・キリストを喜ぶことに相通ずるのだと、そのとき感じさせられました、というお話でした。

では、次回はいなご豆のお話を書きますので、どうぞ引き続きお付き合いのほど、よろしくお願いいたします!

齋藤篤

齋藤篤

さいとう・あつし 1976年福島県生まれ。いわゆる「カルト」と呼ばれる信者生活を経て、教会に足を踏み入れる。大学卒業後、神学校で5年間学んだのち、2006年より日本キリスト教団の教職として、静岡・ドイツの教会での牧師生活を送る。2015年より深沢教会(東京都世田谷区)牧師。美味しいものを食べること、料理することに情熱を燃やし、妻に料理を美味しいと言ってもらい、料理の数々をSNSに投稿する日々を過ごしている。

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