オンライン献金への日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団の対応(後編)

 

──オンライン献金を考える時に、何か気をつけたほうがいい点はあるでしょうか。

小牧 サービスによって手数料はけっこう違ってくるので、その点は考慮したほうがいいと思います。たとえばペイパルの中でも、有料会員では手数料が変わってきたりします。ストライプを利用する場合は、3%台なので比較的手数料が低いですね。1%の違いでも金額が大きくなると、けっこう大きな違いになってきます。

──オンライン献金を実施してみて、何かネガティブな反応や課題を感じるようなことはありましたか。

三箇 個人情報の流用など、セキュリティー面について心配する声は寄せられました。日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団(以下AOG)の場合、10年前に利用した業者との関係性と実績があったので、その点はスムーズにいったと思います。

あとは、「自分の所属する教会ではなく、ほかの教会に献金することもできる」という点が議論になったこともあります。自由に献金先を選べることは利点にもなりますが、「自分の教会への献金が少なくなる」と危機感を覚える人もいるのかもしれません。

オンライン献金というやり方にもなじめる人とそうでない人がいるのは仕方がないと思います。もちろん、オンライン献金だけが各地の教会を支える方法ではないですし、それぞれの現場で運営のための知恵を持ち寄っていらっしゃると思います。ただ、教団としてオンライン献金という方法を一つのセーフティーネットとして各地の教会に提供できたことは良いことだと思っています。

三箇義生さん

──オンラインへの対応の進み方は教団や教会ごとにまちまちですね。

小牧 いろいろな教会のホームページを見ていると、「まだオンライン対応ができている教会は少ないんだな」という印象です。特に献金のことは最初から多くの人が心配していたので、「もっとすぐに動き出すのかな」と思ったら、意外とそうでもなくて、今のところ「銀行振込で対応する」という感じで落ち着いていくのかもしれません。

三箇 去年、教団のホームページをリニューアルするという時に、「オンライン献金の窓口を常設する」という構想はあったんですが、あまり優先順位は高くなかったんですね。しかし今回、「急いで枠組みを作らなくてはいけない」と、必要に迫られた面があります。皮肉なことですが、コロナ禍がなければ、ここまでのスピードでオンライン献金の枠組みを作ることもできなかったかもしれません。

今回、AOGが、クレジットカードを使ったシステムを採用したことは、今後もオンラインの献金窓口を長く幅広く使っていくことを考えると、良い選択だったと思っています。ただ、システムを作ったあとで知った他のサービス(ペイパルやストライプ)の情報もあるので、ふだんからさまざまな情報をキャッチすることの大切さを感じました。

──ほかにオンラインでの礼拝やミニストリーについて、可能性や課題についてどう思われますか。

三箇 オンライン礼拝の中でも、たとえば「聖餐式をどう執り行うか」などの課題があります。また、祈祷会や聖書の学び、伝道などの教会の働きを、「三密」を避けながら行うことはたいへん難しく、多くの教会が危機的な状況に直面しています。

一方でオンラインでの礼拝は、「今まで届かなかった人たちに福音を届ける」という別の可能性を秘めています。その中で、(献金を含め)教会の持つ機能の一部をオンライン化するということは、将来的には必要だろうと感じています。

小牧 ホームページなどオンラインでの取り組みが「教会につながるための情報提供の場」から、一つの「伝道の現場」になりうる可能性について考えさせられますね。たとえば、バプテスマ(洗礼)決心者への対応などの課題もありますし、オンラインでのミニストリーを始めることで、「さまざまな教会を渡り歩き、定着できない人」(チャーチ・ホッパー)も一定数出てくると思います。しかし、こちらが対応できなくても、勝手に時代は進んでいくので、間違いなく新しい時代が来ると思います。以前はホームページを持つということも主流ではありませんでしたが、今は「本当に必要とされてきている」という実感があります。

三箇 対面での活動の一部をオンラインへ移行するという流れは、オンライン献金のシステムを作るニーズとは別に存在しますよね。学校の授業や会社の業務も少しずつオンライン化が進んでいきますし、それはこれからの世の中の一つの流れだと思います。次世代のインターネット・システム(5G)導入や画像鮮明度の改善(4K、8K)といった技術の発展もありますし、教会の働きの一部にもオンラインを取り入れる利点はますます増えていくと思います。そのためにも、今のうちに意識して取り組んでいく必要があるでしょう。

 






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