話題のスイーツ「マリトッツォ」はイースターの準備期間に食べるお菓子

近ごろSNSで話題を集めているお菓子「マリトッツォ(maritozzo)」。皆さんはもう召し上がられましたか?
ふわふわの丸いパン生地に、たっぷりとホイップクリームを挟んだこのお菓子は、イタリア・ローマ名物。現地の多くのバールではおなじみのメニュー。朝ごはんに食べることも多いようです。

筆者がおやつに食べたマリトッツォ。
ブリオッシュを使うことが多いようですが、イタリアではグルテンが多いマニトバ粉を使います

さて、このマリトッツォの歴史は古く、古代ローマ時代(紀元前509~27年頃)まで遡ります。もちろん、古代ローマにはホイップクリームはありません。(※)外で働く夫のために妻が栄養価の高いものを食べてもらおうと作ったものが起源とされ、もともとはオリーブオイルで練った生地に、オレンジピールやレモンピール、レーズン、松の実などを混ぜ込んだ丸パンだったといわれています。
※ホイップクリームが誕生したのは16世紀頃。フランスのシャンティイ城が発祥といわれています。

ローマ帝国滅亡後、中世になるとマリトッツォは復活祭(イースター)の前の準備期間である「四旬節(しじゅんせつ)」の間に食べられるようになりました。
四旬節についてはこちらの記事もご参照いただきたいのですが、この期間、イエス・キリストが十字架に架けられるまでの苦しみを思い起こし、祈りや断食(節制)、愛の行い(慈善)などを実践し、イースターに向けて心を整えます。マリトッツォはイタリア語で四旬節を表す「Quaresimale(クアレジマーレ)」とも呼ばれ、節制が求められるこの期間に唯一食べることが許されていたのだとか。(※)
※こっそり食べていたという説もあります。
ホイップクリームが使われるようになったのはごく最近で、1960年代以降と考えられています。
余談ですが、マリトッツォの語源はイタリア語で夫を表す「Marito(マリート)」。諸説あるようですが、3月の第一金曜日に男性が婚約者にマリトッツォを贈る習性があったとか、朝、ベッドで寝ている妻のために夫が買いに走ったことが由来とも。はじめは妻が夫のために作っていたものが、夫が妻のために用意するものに変わり……時代とともに変化する夫婦の在り方が見えるようですね。(いまもまさに過渡期のように感じます)

ところで、北欧・スウェーデンにも四旬節の前日にあたる「告解の火曜日」に食べる、マリトッツォにそっくりのお菓子「セムラ(Semla)」が存在します。こちらは17世紀頃に誕生したとされるお菓子で、カルダモンを練り込んだパン生地に無糖のホイップクリームとアーモンドペーストを挟んだもの。この日は“セムラの日”や“Fettisdagen(脂肪の火曜日)”と呼ばれ、ハイカロリーのセムラを食べて断食に備えていたよう。

数年前にとある北欧料理店で食べたセムラ。フィンランドでは「ラスキアイスプッラ(Laskiaispulla)」の名で親しまれています。

最近では昔のように四旬節にきっちりと断食をする習慣も減りつつあるので、糖分&脂質の摂りすぎが気になるところではありますが、どちらも春を告げるお菓子として今なお愛されています。
イースターも過ぎ、そろそろ販売終了というお店も多いよう。まだ食べていない方は、ぜひ今のうちに召し上がってくださいね!

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