「レーナ・マリア コンサートの夕べ in 常盤台」(主催:バプテスト基望学園理事会)が11月30日、日本バプテスト連盟・常盤台バプテスト教会(東京都板橋区)で開催され、約300人が集まった。
レーナさんは1968年にスウェーデンに生まれたが、生まれつき両腕がなく、左足は右足の半分しかなかった。3歳頃から水泳教室に通い、やがて水泳選手として国内外の水泳選手権に出場して、数々のメダルを獲得。88年のソウル・パラリンピックにも出場している。
そんな生い立ちがスクリーンで紹介される中、レーナさんがこのように語った。
「私はいつも人生を楽しんでいます。この障がいを持った理由は誰にも分かりません。でも、自分で自分のやり方を見いだすために、両親が一生懸命手伝ってくれ、時間をくれました。みんなが手を使うところで、私は足を使いますが、ほとんど何でも自分でできます。どこで生まれたとか、外見とかは大切ではありません。みんな一人ひとりが大切で、必要とされているのです」
レーナさんは、高校の音楽専攻科からストックホルム音楽大学に進んで声楽を学び、卒業後、ゴスペル・シンガーとして音楽活動を開始。91年にテレビ朝日の「ニュースステーション」で紹介されたことがきっかけで何度も来日し、98年の長野パラリンピックの開会式で歌ったり、コンサートを開いたりして、多くの人に励ましを与えている。
登壇したレーナさんは、「皆さん、こんばんは。コンサートにようこそ。皆さんがここにいて、神様もここにいます。私はとても幸せです」と日本語で挨拶(あいさつ)し、「きよしこの夜」と「御子がお生まれになった」を歌った。
そして「日本が大好きです」と言って、日本へのラブ・ソング「ジャパン・イン・マイ・ハート」を披露。その後、「モーニング・ハズ・ブロークン」「アメージング・グレイス」、続いてクリスマス・メドレーを熱唱した。
レーナさんは、歌と神様への思いを次のように語る。
「歌を歌うことは私の人生のすべて。歌うことが大好きです。歌うことによって、たくさんの人に会うことができ、とても感謝しています。
私が今の私であること、そして私の人生の中でこのようなことができるのは、私がいつも愛されているからです。
神様は私たちを本当に愛してくださっています。愛してくださっているから、イエス様を私たちに与えてくださったのです。神様がどれだけ私たちを愛してくださっているか、そのことを知ったら、人生はどれだけ喜びにあふれたものになるでしょう」
こう語り終えると、互いに愛し合い、支え合い、励まし合うことを伝える「ユー・レイズ・ミー」(あなたが強くしてくださる)を高らかに歌い上げた。
また、この日はスペシャル企画として、めぐみ幼稚園の卒園児たちがレーナさんと一緒に「翼をください」を歌った。27人の子どもが舞台に上がって美しいハーモニーを聞かせると、会場からはひときわ大きな拍手が鳴り響いた。
子どもたちが席に戻ると、最後にレーナさんが「さやかに星はきらめき」を静かに歌い、コンサートの幕は閉じた。
今回のコンサートは、今春、創立53年を迎えた常盤台めぐみ幼稚園が学校法人バプテスト基望学園・常盤台めぐみ幼稚園として再出発したのを記念して行われたもの。この夜のコンサートに先立ち、同園の園児たちのためにミニ・コンサートも開かれた。園児たちはクリスマス・ソングに耳を傾けた後、レーナさんに質問したり、一緒に写真を撮ったりするなど、交流の時間を持った。
母親と一緒に川越からコンサートに来たというカトリック信徒の女性は、感想を次のように語った。「レーナ・マリアさんのことはパラリンピックで知りました。間近で歌声を聴き、心が洗われました。歌声が本当に素敵で、選曲も素晴らしかったです。今日のことは一生忘れないと思います」