【日本基督教団】 在日大韓基督教会・日本基督教団 平和メッセージ 【5001・02号】

お知らせ | 日本基督教団公式サイト

Image by Gerd Altmann from Pixabay

 主はこう言われる。正義と恵みの業を行い、搾取されている者を虐げる者の手から救え。寄留の外国人、孤児、寡婦を苦しめ、虐げてはならない。またこの地で、無実の人の血を流してはならない。(エレミヤ書 22章3節)

 新型コロナウルス感染症(COVID-19)は、日常の私たちの生活を揺るがし、身体に危険を及ぼしたばかりでなく、社会構造や経済構造の弱い部分に打撃を与え、矛盾や不平等を露呈させ、孤立と分断を増長させました。その不安や対立が暴力や戦争まで引き起こし、感染症が収束に向かう中でも、世界が未だに大きな混乱の中にあります。
主イエス・キリストは、ご自身の十字架によって敵意の中垣を壊し、二つのものを平和の中で一つにしてくださいました。私たちは主イエス・キリストこそ和解と平和の主であることを信じ、主が私たちに求められる隣人愛を心に刻み、この愛から生まれる平和だけが、この世界の危機を克服出来るものと信じ、ここに平和メッセージを宣言いたします。

<関東大震災100周年について>
 1923年9月1日に関東大震災が発生し、今年、100周年を迎えます。10万人を越える貴い命が犠牲になったことを忘れません。しかし、それと同時に、震災の混乱の中、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「朝鮮人が放火した」などの流言飛語により6,000人の在日朝鮮人・中国人が警察及び自警団によって虐殺されたことを忘れてはいけません。平時には普通である一般市民が、天変地異が起こるとこのように豹変し、人間が同じ人間を殺すという狂気に陥るさまに戦慄を覚えます。また人間の心の奥底に潜む罪深さにおののきます。
100年たった現在でも、寄留外国人に対するヘイトスピーチなどの人権侵害が続いています。私たちは、すべての人の命を贖うキリストへの信仰に基づき、「すべての人と平和に暮らしなさい」(ローマの信徒への手紙12章18節)との御言葉に従って、差別のない社会が実現することを願い祈っています。そして、そのための愛による働きにあずかることを志しています。緊張と不安に満ちた今日の状況の中でこそ、社会の中で弱い立場に置かれた人々が守られ、支えられなければなりません。社会の動揺に乗じたあらゆるヘイトに反対し、この社会に生きるすべての人々の人権が守られるよう願います。

<「入管難民法」改悪について>
 2021年に廃案となった「出入国管理及び難民認定法(入管難民法)」の改悪案を一部だけ修正したものが、今年5月9日に衆議院で可決され、6月9日に参議院で可決、成立しました。これに対し、わたしたち日本基督教団と在日大韓基督教会は強い憤りをもって抗議します。政府の法案は「難民申請者」や、在留資格を失った「無登録外国人」(非正規滞在者)を、さらに窮地に追い込む改悪法となっています。本来ならば、世界人権宣言および難民条約に基づいて難民認定制度を抜本的に改正し、日本がすでに加盟している国際人権諸条約に沿って入管収容制度を改正すべきです。私たちはこの「改悪」入管難民法の実施に反対し、廃案を求め、難民申請者や無登録外国人一人一人の命と生活を支える市民社会の働きに連帯して行きます。

<ウクライナにおける戦争について>
 2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻してから、すでに一年半が過ぎました。現在も戦争は終わる気配がありません。その間も子どもたちを含めた尊い命が奪われ続けています。
「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない。」(イザヤ書2章4節)
一刻も早く戦闘が中止され、ウクライナおよびロシアの兵士たちの命が救われることを強く望みます。社会インフラ・ライフラインの復興とともに、傷ついた人々の心のケアのために世界中の教会が力を尽くすことを願います。
ロシアの核による威嚇や使用は主の前で決して許されません。すべての為政者たちの良心が呼び覚まされ、私利私欲と傲慢な思いを捨て、正しい選択を行うように切に祈り求めます。現在行われている「戦争という名の大量殺人」が、一刻も早く中止されることと、そのために主なる神が働いてくださることを心から願います。

<日本の原子力政策について>
 2011年の東京電力福島第一原子力発電所爆発において「絶対安全」「経済に必要」という「神話」に彩られてきた日本の原子力政策は、完全に崩壊し、12年を経た今もなお事故収束は全く目処が立っておりません。それにも拘わらず、日本政府は原発の新規建設や60年を超える運転を認めることを盛り込んだ「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針案」をとりまとめ、福島第一原子力発電所で増え続けるALPS処理水(トリチウムなど放射性物質を含んだままの汚染水)を地域住民や漁業関係者との約束を無視して、また近隣諸国の反対の声を聴くことなく、今年中に海洋投棄することを決定しました。
わたしたち日本基督教団と在日大韓基督教会は、ALPS処理水の海洋投棄や、日本政府が提唱する「基本方針」に断固抗議をし、今なお、強いられたヒバクによって痛み、脅かされている命と連帯して行きます。

2023年 平和聖日 
日本基督教団 総会議長 雲然俊美
在日大韓基督教会総会長 中江洋一 

 






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