【訃報】 アジアの「文脈神学・物語神学」指導者・宋泉盛牧師が逝去 台湾メディアが報道

キリスト教神学をアジアにおいて文脈化するとともに、同地域の民衆の解放のために闘ったことで世界的に知られた長老派の神学者、C・S・ソン(宋泉盛=ソン・チョアンセン)牧師が、11月26日逝去した。台湾長老教会の英文ニュースメディア「PCTエキュメニカル・ニュース」が報じた。同紙は死因などの詳細を伝えていない。

「今朝、95歳で安らかに亡くなられたエキュメニカル・コミュニティの名高い神学者、C・S・ソン(宋泉盛)師のご逝去を残念に思います。 この困難な時期に、ご遺族への祈りと支援を捧げましょう」と同紙は記した。「牧師C・S・ソン博士は、20世紀で最も重要な神学者の1人として評価され、その働きは文脈神学と物語の神学の発展に注目に値する影響を与えました」

1929年台南生まれ。65年にニューヨーク市のユニオン神学院で博士号を取得。台湾の台南神学院の校長を務めた。76年から77年にかけて、プリンストン神学校の客員教授を歴任。さらに、世界改革派教会連盟(WARC、現在の改革派教会世界共同体=WCRC=の前身の一つ)の研究部長、アメリカ改革派教会のアジア宣教担当幹事、ジュネーブの世界教会協議会(WCC)の信仰と職制委員会の担当副部長も務めた。その後、WARCの議長を務めた一方で、太平洋宗教学校で神学とアジア文化の教授を、そしてシンガポールと香港の東南アジア神学大学院で地域神学教授も務めた。

英語で出版された同氏の著書に、Asians and Blacks: Theological Challenge(1973); Christian Mission in Reconstruction: An Asian Analysis(1977); Third-Eye Theology: Theology in Formation in Asian Settings(1979); The Tears of Lady Meng: A Parable of People’s Political Theology(1981); The Compassionate God(1982); Tell Us Our Names: Story Theology from an Asian Perspective(1984); Theology from the Womb of Asia(1986); Jesus, the Crucified People(1990); Jesus and the Reign of God(1993); Jesus in the Power of the Spirit(1994); Believing Heart: An Invitation to Story Theology(1999); And Their Eyes are Opened: Story Sermons Embracing the World(2006); Tracing the Footsteps of God: Discovering What You Really Believe(2007)がある。

邦訳された著書には、『民話の神学』(金子啓一訳、新教出版社、1984年)、『イエス:十字架につけられた民衆』(梶原寿監訳、金子啓一ほか訳、新教出版社、1995年)、編書に『台湾基督長老教会獄中証言集』(岸本羊一監訳、教文館、1986年)がある。

(エキュメニカル・ニュース・ジャパン)

関連記事

この記事もおすすめ