オウム真理教の外報部長だった上祐史浩(じょうゆう・ふみひろ)氏が、松本智津夫(まつもと・ちづお)死刑囚らの死刑執行を受けて、正午から都内で会見を行った。上祐氏は現在、オウム真理教の後継団体である「アレフ」から独立して、2007年に設立された「ひかりの輪」の代表をしている。
「ひかりの輪は、9年前の本日7月6日、オウム事件被害者と賠償契約を結びました。まさにその日、死刑執行が行われました。改めて被害者の賠償に努めていきます」
上祐氏は会見の中で繰り返しこのように語った。
死刑執行の知らせは報道機関にいる知り合いから電話で聞いたといい、「アレフ」を脱会して10年以上経った今、松本死刑囚に関しては特別な感情はないという。むしろ、松本死刑囚を批判してきた立場から断続的な緊張感があったが、死刑が執行されたことで「その緊張感が少し解けた気がする」と話した。
「その緊張感とは何か」との記者からの質問に、「私は、麻原やその信者から見れば裏切り者。あとはご推察願いたい」と答えた。
「アレフ」は今も麻原に帰依しており、事件を知らない若い世代を中心に布教活動をしているという。
今日、大阪拘置所で死刑執行された元オウム真理教幹部の新実智光(にいみ・ともみつ)死刑囚に、約18年前、東京拘置所内で会ったという進藤龍也氏(罪人の友主イエス・キリスト教会牧師)は、その執行の知らせを受け、本紙のインタビューに答えた。
進藤氏は元暴力団員で、受刑経験もあることから、牧師となった現在、刑務所伝道に励んでいる。進藤氏が新実死刑囚(2010年に死刑が確定したため、当時は被告)に会ったのは、進藤氏が受刑中だった2001年8月。進藤氏の独房の二つ先にいたという。
独房から出て、番号と名前を言った後、手錠をかけられ、護送車に乗り込む最中にも笑顔を見せていたのが印象的だったと進藤氏は話す。バスに乗っても、ニヤニヤとしながら、常に鼻をかんでいたのを覚えていると。
「今日、執行ですか。なんだか感慨深いですね。本当の真理を知ってほしかった。命を取るか取らないかは、神様の領域。私たちの判断や思いでは決してない。日本国民である以上、神様が立てられた権威と信じて、国の判断には従う。しかし、先進国で日本だけが死刑制度があるという事実を見ると、やはり聖書の土台に立っていないから、命の扱い方が違うのではないかと感じる。いつか信仰に立った法律が作られる日を望んでいます」
私が最後のお勤め(3回目)の裁判中、東京拘置所の南舎の独居にいました。今現在の新しいビルの拘置所ではなく、脇に現存し、再犯者にはいまだ使用している茶色のこ汚い建物です。
裁判の日はそこから皆でバスに乗り込み、霞ヶ関の裁判所まで行くのです。
裁判が終わり、帰りのバスで目立つ男がいました。頭一つ高い、顔の長い、ずっと鼻をかんで、ずっと外を見てニヤニヤしている男……
よく見ると、オウムの新実智光被告でした。……
拘置所に着いて、同じ舎房に振りわけられて帰るのですが、同じ棟の住人にオウムの新実智光がいて、しかも連行されて帰る時に私の隣に立ちました。私の身長は176センチあるのですが、私の目線は悔しいかな彼の鼻先でした。身長が高く、色白で、顔が大きく、頭がよさそうな顔でした。いつもニヤニヤしているのは理解不能でしたが、何か達観したものがあるのでしょうか。
(2008年3月4日の進藤氏のブログから)