日本ホーリネス教団、全国の所属教会に礼拝形式の中止を要請 牧師謝儀の支援も

 

日本ホーリネス教団(東京都東村山市)は16日、島津吉成(しまづ・よしなり)委員長(辻堂キリスト教会牧師)と佐藤信人(さとう・のぶと)総務局長(仙台南光沢教会牧師)の連名で「新型コロナ・ウイルスの感染拡大を受けてのお知らせ」第6報を発表した。政府が同日、「緊急事態宣言」の対象地域をすべての都道府県に拡大したことを受け、これまで対象とされていた7都道府県以外の所属教会についても「教会員が集まる礼拝形式」の中止を要請した。

9日に発表された第5報では、「緊急事態宣言」(7日)の対象となった7都府県の所属教会に対して、「教会員が集まる礼拝形式は速やかに中止してくださるよう強く勧告」し、その他の地域については、「教会に集まることができなくなった場合の対応策につきまして、至急検討してくださるようお願いいたします」としていた。

日本ホーリネス教団のホームページ

第6報の中で通知したのは、献金収入が大幅に減少して牧師謝儀の支出が困難な教会、すなわち「牧師謝儀支援規程」の対象となる、最低謝儀さえ支給できなくなった教会について、無利子の貸与というかたちで緊急の資金援助を行うということ。また、教会総会を開けない教会については、役員会の決定報告で教会総会の代わりとするよう助言した。

そのほか、7月の夏季聖会をはじめ、教団主催の集会はすべて中止するか、延期されることが決まった。各教区の諸活動についても、夏から秋にかけてのキャンプや聖会、セミナーなどの中止を勧めている。

新型コロナ・ウイルスの感染拡大を受けてのお知らせ」第6報の全文は以下のとおり。

主の聖なる御名をたたえます。

日を追うごとに、新型コロナ・ウイルスの感染拡大が深刻さを増す中で、4月14日(火)に行われました教団委員会において、下記のように重要な幾つかのことを決定しましたのでお知らせいたします。ご理解とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

1 教団主催の諸集会の中止について

・今年度予定しておりました教団主催の夏季聖会(7月)、教団主催キャンプ(8~9月)、在職5-10年・年齢65歳セミナー(5月)、勧士セミナー(8月)、信徒代議員研修懇談会(11月)、奉仕局セミナー(11月)などは、いずれも中止、あるいは延期いたします。これらの中には、インターネット利用して、形を変えた集会の開催が可能かどうか、検討しているものもありますが、いずれにしても、通常の形の集会は中止となります。それ以外の諸集会につきましては、現在検討中です。

・3月の年会が中止となり、予定しておりました按手礼式は夏季聖会で行うことに変更しましたが、その夏季聖会も中止となったため、按手礼式をどのようにするかにつきましては、それぞれの受按予定者の希望を伺いながら対応を検討しております。

・ユースジャム2021につきましては、東京オリンピックの1年延期に伴い、日程が重なってしまうため、予定どおりの開催が難しいものと考えられます。現在、会場の代々木オリンピックセンターからの通知を待っていますが、開催時期を1年延ばすことを検討しています。結論が出ましたら、改めてお知らせいたします。

2 各教区における諸活動について

・各教区におかれましても、今年度の教区活動をどのようにしようかと苦慮しておられることと思います。先が全く見通せない状況ですから判断がつきかねるところですが、たとえ感染拡大が落ち着いたとしても、有効なワクチンができるまでは、「三つの密」を避けるべきことに変わりはないものと考えられます。その意味では、夏から秋にかけてのキャンプ、聖会やセミナー等も中止していただくのがよろしいかと思います。

・多くの教区では、これから教区総会が行われることと思います。地方区の教職および信徒代議員を選出する大事な教区総会ではありますが、時期を少し遅らせることによって通常の形で開催できる可能性は低いことを考えますと、インターネットを利用した形での開催を検討してくださるようにお願いいたします。

3 牧師謝儀の支給が困難になっている教会に対する支援について

①資金援助の概要について

・教会に集まることを中止している教会の中には、献金収入が大幅に減少し、そのために牧師謝儀の支出が困難になっている教会もあることと思います。

・教団としましては、各教会において牧師給の支給が滞ることがないように、「牧師謝儀支援規程」の対象となる最低謝儀さえ支給できなくなった教会に対して、緊急の資金援助を実施いたします。

・ただし、現時点では、教団全体で年間どれだけの資金援助が必要となるのか、また各教会の財政状況が今後どのように変化するのかが分かりませんので、すでに謝儀支援が決まっていた金額以外の支援については、まずは無利子の貸与という形での資金援助を行います。
・その後、各教会の1年間の財政状況を確認し、また教団全体の財政状況を確認した上で、貸与したものを給付に変更する(全額、あるいは一部)という措置をとることといたします。
・この制度はあくまで牧師謝儀の支給のための援助ですので、他の費用のために使うことはできません。

②申請の方法について

・「新型コロナ・ウイルスの影響による資金援助申請書」に必要事項をご記入の上、教団本部のメールアドレスに添付して、総務局宛に提出してください。今回の申請は「謝儀支援申請」とは異なり、手続きを簡素化し、できるだけ迅速に対応するために、教区長を通さず、各教会から直接総務局に提出してください。

・資金援助の期間としましては、まずは最長連続6ヶ月としますので、希望する期間を記入してください。期間の更新は可能です。

・新型コロナ・ウイルスの影響を受けて献金収入が減少したことが分かる資料として、直近の会計報告書とともに、前年度の年間収支が分かる資料(総会資料等)を添えてご提出ください。教団事務所の出入りを制限しておりますので、会計状況の確認の迅速化のために、添付資料を必ず添えてくださるようにお願いいたします。

③貸与から給付への変更の基準について

・上記の資金援助の財源につきましては、まずは今年度の予算案の中から、新型コロナ・ウイルスの影響を受けて中止となる諸活動のために予算化していた費用が数百万円になると予想されることから、それをもって充当することを考えています。もし、諸教会からの申請額がこれを超過する場合は、教団の基金を取り崩すことによって対応することも検討しています。

・もし、年間の総援助額が活動を休止したことによって生じた額よりも下回る場合は、多くの援助金が貸与から給付に変更されることが期待されます。

④本部費等の減免について

・通常ですと、財政が困難な教会に対して、本部費や厚生費、退職積立金等の減免という特別措置の制度がありますが、今回、その制度を併用しますと、実質的な給付と同じことになり、上記の貸与と給付の区別の意味がなくなり、不公平が生じる恐れがありますので、原則として本部費や厚生費、退職積立金等の減免措置は行いません。新型コロナ・ウイルスの影響による献金収入の減少につきましては、今回の制度をご利用くださいますようお願いいたします。

4 教会総会等の開催について

・4月以降、役員会や教会総会を開催できないため、新年度の活動計画や予算案を立てられずに困っている教会も多くあることと思います。宗教法人法では、責任役員会が最高の議決機関ですから、まずはインターネット会議、あるいはメールや書面等による持ち回り会議によって役員会を開催し、必要最低限のことを決めていただくのが良いと思います。このような非常事態ですので、教会総会を開催できない場合もやむを得ない措置と考えます。その場合、役員会の決定の報告をもって、教会総会の代わりとしていただくと良いと思います。

・法人格を持っている教会につきましては、行政庁への書面提出の必要がある一方、教会総会を開催できず、役員を選出できない、決算の承認が得られない等の問題が発生していることと思います。これにつきましては各都道府県によって対応が異なりますので、ご面倒でも都道府県庁の宗教法人事務を主管する課にご相談くださって、対応してくださるようお願いいたします。

5 各教会の状況に関する報告のお願い

・新型コロナ・ウイルスの感染拡大に対する各教会の対応状況につきまして、3月下旬に各教区長をとおして確認させていただきましたが、その後、感染がさらに広がり、各教会における対応も変化していることと思います。

・そこで改めて、教区長をとおして、それぞれの教会の礼拝等の対応状況につきまして、総務局までご報告くださいますようお願いいたします。特に、インターネットを利用して礼拝を配信している教会につきましては、どのような方法で配信しているか等、詳しく教えてくださるようお願いいたします。

・ご報告いただいた内容につきましては、他の教会の参考のために、教団全体で情報を共有させていただきますので、どうぞご了承ください。

・また、教会の状況を報告してくださる際、対応に苦慮している点、あるいはサポートが必要な事柄等がありましたら、合わせてお知らせください。

6 その他

・政府によって7都府県に緊急事態宣言が出されていましたが、本日、対象地域を全ての都道府県に広げるとの発表がなされました。新しく追加された地域にある教会におかれましては、【第5報】でお知らせしたような対応を取ってくださるようお願いいたします。

・今年度、「教会教区活動費」の支援を受けて実施する予定だった諸活動につきまして、教区や教会におきましてすでに中止を決定した行事がありましたら、総務局までお知らせくださいますようお願いいたします。上記のように、牧師謝儀の支援のための財源として使わせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

・資金援助申請書、および各教区からの報告等につきましては、できるだけ電子メールにて、jhc-honbu@jhc.or.jpまでお願いします。電子メールでの提出ができない場合はFAXにて、鈴木英夫総務局長補佐[成田教会TEL/FAX0476-28-3944]までお願いいたします。

新型コロナ・ウイルスによる病と死の恐れが私たちの世界を覆う中で、「主は生きておられる」との喜びの知らせが私たちを生かし、励まし、力づけてくださいますように。

このときも、父なる神が私たちの世界を憐れんでくださり、さらなる感染拡大をとどめてくださるように。また、医療従事者をはじめとする多くの方々の働きが支えられますように。皆さまの教会の上に、主の守りと祝福がありますようお祈りいたします。

「神は我らの逃れ場、我らの力。苦難の時の傍らの助け。それゆえ私たちは恐れない」(詩編46編2、3節/聖書協会共同訳)

主にありて

新型コロナ・ウイルスの感染拡大を受けてのお願い」第5報の全文は次のとおり。

主の聖なる御名をたたえます。

すでに報道にありますように、新型コロナ・ウイルスの感染拡大が危機的状況に陥り、今週7日、ついに7都府県に対して緊急事態宣言が出されました。これに対して、すでにそれぞれの教会において対応策を考えておられると思いますが、教団としましても、改めて以下のようにお願いをいたします。

1 緊急事態宣言が出された地域にある教会の対応について

・これまで教団としましては、各自治体から出される週末の外出自粛要請に対しては、「教会員が集まる礼拝形式は避けていただく」ことをお願いしながらも、あくまで各教会の判断に任せることとしてきました。

・しかし、今週出された緊急事態宣言への対応につきましては、対象の地域にある教会では、教会員が集まる礼拝形式は速やかに中止してくださるよう強く勧告いたします。これは教会員を感染から守るためであり、また全国的な感染拡大を抑えるために、その地域にある教会としての極めて重要な姿勢です。教会の近隣住民の方々は、教会がこれまでと変わらずに集会を続けていることに対して、大きな不安を覚えておられます。自分たちの通常の信仰スタイルを貫こうとすることによって、教会が地域住民に大きな不安を与えたり、感染を広げる源になったりするようなことがあっては決してなりません。緊急事態宣言が出された地域にあっては、教会に集まる形の礼拝を中止してくださるよう、改めて強く要請いたします。

・なお、通常の礼拝を中止する場合の対応策につきましては、【第4報】を参考にしてください。

2 それ以外の地域にある教会について

・現時点では、緊急事態宣言を出すには至っていない地域であっても、感染が徐々に広がっていることと思います。都心に比べると、感染拡大の時期が遅れているだけのことであって、そのうち地方にも感染拡大の波が及んでいくと言われています。

・そこで、まだ時間的な猶予がある今のうちに、教会に集まることができなくなった場合の対応策につきまして、至急検討してくださるようお願いいたします。

3 牧師が感染した場合の対応策の検討について

・都市部を中心に、感染源が分からない感染者が急速に増えております。このため、細心の注意を払っていても、残念ながら牧師が感染してしまうケースが出てくることも予想されます。主の守りと助けを祈り求めながらも、もし牧師が感染した場合、その後の礼拝をどのようにするか、事前に検討しておくことが教会に求められるリスク管理として非常に重要です。

・ある教区では、礼拝のライブ配信を始めている教会同士で約束し、一方の牧師が感染した場合、もう一方の牧師によるライブ配信を一緒に視聴できるように取り決めています。知らない教会の牧師のメッセージを視聴するよりも、教区内の牧師によるライブ配信を視聴することにより、教区内で一緒に礼拝をささげる恵みを味わうことができます。

・それぞれの教区や地域によって、対応できる方法は異なることと思いますが、教区内の近隣の教会が互いに助け合いながら、教会員の礼拝生活がなんとか守られるように、ご検討くださるようお願いいたします。

4 その他

・夏季聖会やキャンプをはじめ、教団主催の諸行事をどうするかにつきましては、4月14日(火)にインターネットを利用して行われる執行部会議、各局会議、教団委員会にて協議いたします。決まりましたら、改めてお知らせいたします。

・牧師給(最低謝儀)の支出が困難に陥っている教会に対する支援につきましても、14日の教団委員会にて協議いたします。もうしばらくお待ちくださるようお願いいたします。

息が詰まるような重たい空気に覆われている私たちの世界ですが、主イエスが私たちのために十字架にかかってくださった大きな恵みを覚えながら、喜びのイースターを迎えたいと思います。このときも、父なる神が私たちの世界を憐れんでくださり、爆発的な感染拡大をとどめてくださるように。また、医療従事者をはじめとする多くの方々の働きが支えられますように。

皆さまの教会の上に、主の守りと祝福がありますようお祈りいたします。

「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。私はすでに世に勝っている。」(ヨハネ16章33節/聖書協会共同訳)

主にありて

この記事もおすすめ