【信教の自由を守る日】 石浜みかる氏が講演 満州キリスト教開拓村の歴史を今に

日本同盟基督教団「教会と国家」委員会は2月11日、「信教の自由セミナー」を日本同盟基督教団横浜上野町教会(横浜市中区)とオンラインの併用で開催した。講師として招かれた石浜みかる氏(ノンフィクション作家)は、キリスト教開拓団の団員による証言をまとめた自著『証言・満州キリスト教開拓村』(日本キリスト教団出版局)に基づいて講演し、旧満州(現中国東北部)のキリスト教開拓村が生まれた経緯や、戦後の引き揚げにまつわる過酷な実態などについて解説した。

天理教、仏教に次いで、キリスト教も賀川豊彦を筆頭に、多くの信徒や牧師が駆り出され開拓団が結成された。戦後、土地を収奪され辺境の地へ追いやられていた現地の住民らが、日本人を襲撃した。難を逃れて帰国した人々も、住む家や土地を失い、苦難を強いられたという。

自身の取材経験もふまえ当時の証言を聞くことの重要性を説いた石浜氏は、フェイクニュースが蔓延する時代状況を危惧し、「日本の国民は、政治的なことに関心を持たないように教育されてきた。満州の歴史を反面教師にして、真実を見極める複数の視点を持ってほしい」と呼び掛けた。

講演後、オンラインで視聴した学生からは、「満州に行き、日本人が現地の方から攻撃を受けることや、情勢のつらさは予想できることではなかったのか。満州事変の侵略を経て得た土地に行くことの重大さを当時の人々が感じにくかったのはなぜか」との質問が寄せられた。

石浜氏は、「世界中が植民地をもつのが当然だった当時の人々にとって、満州へ行くことは喜びでしかなかった。加害や被害、侵略という意識はまったくなかった」と応じた。

石浜氏の父・石浜義則牧師は戦時中、神社不敬罪と治安維持法違反で2回投獄され、広島で服役中被爆している。

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