ヨハネ福音書研究の集大成として貴重な作品
〈評者〉東よしみ
ヨハネ福音書解釈の根本問題
ブルトマン学派とガダマーを読む
大貫隆著
四六判・240頁・定価1980円・ヨベル
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七月にヨベルから出版された本書は、大貫隆氏が二〇二一年度の「聖書学習講座」(無教会研修所主催)で行った講義を元にしている。本書は、ヨハネ福音書解釈におけるガダマーの解釈学の重要性を一般読者向けに平易に説明し、ブルトマン、ケーゼマン、ボルンカムという「ブルトマン学派の三角形」の中にガダマーを位置付ける。第一─五講は、ブルトマン学派とガダマーのテキストの抜粋に著者が解説を施す「講読」形式をとる。第六─七講は、ヨハネ福音書のテクストから「地平の融合」(ガダマー)を確かめる。
「わたしのヨハネ研究:序にかえて」は、半世紀あまりにおよぶ著者のヨハネ福音書研究の道のりを、個人的な話も交えて振り返る。著者は、ミュンヘン大学留学中、パネンベルクのセミナーでガダマーの解釈学に出会い、博士論文では、福音書テクストが読者に及ぼす効用に着目した。帰国後、『世の光イエス』(一九八四年)で「文学社会学」の構想を実行する。本書では初めて一般読者向けに、ガダマーの解釈学をヨハネ福音書へと適用していく。
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